■「提案を考える」ことと「提案書を作る」こと
第4回、第5回と提案に向けた情報収集について、特に大切な得意先の情報について何を知っておくべきか、どう情報収集をしたらよいのか、をお伝えしてまいりました。
今回は3つのゲートの2つ目「提案作成」を進める際のよくあるNG例に触れてまいります。
登場人物のご紹介
本コラムの主人公、江藤さんが所属している「MK食品株式会社」のメンバーや、取引先の「TMスーパー」のバイヤーさんなどをご紹介。
カテゴリー市場シェア3位メーカー。バイヤーと直接商談できる得意先は多い。
- 江藤さん(営業担当)
- 前任の急な退職により、急遽TMスーパーの本部担当に抜擢
- 塚田さん(課長)
- 江藤さんの上司で、元エース営業担当
現在は担当先を持たずマネジメントに専念
- 鈴本さん(営業担当)
- MK食品の新入社員
- 椎谷さん
- 頼れる本部スタッフ、のちのち登場予定
関東を中心に伸び盛りなスーパー
SM業界TOP5も見えてきたところ
- 片岡さん(バイヤー)
- MK食品を含むカテゴリーに新しく着任
「前任よりも実績を出していきたい」とやる気満々
■「提案作成」を進める手順とは?
得意先の情報収集もひと段落した江藤さん。
自社の新商品や市場データも営業推進部から提供があり、さっそく提案資料を作ろうと気合が入っています。
【MK食品 量販営業部オフィス】
さっそく提案資料を作ってみますかね!
ポチっと。(PowerPoint起動)
そうなんですよ、必要な情報は出揃ったので、あとは提案書を作って片岡バイヤーにぶつけるだけです!
(カチャカチャカチャカチャ...)
(すごい勢いでキーボード叩き始めたな...)
いまの威勢のいいタイピングは何だったんだ!?
提案の中身を考えるのと、提案書を作るのは別のこと。
まずは提案の内容を整理することから始めないと。
バイヤーが判断できなくなったりするから要注意。
伝えるべき内容を整理するって、具体的にどうやったらいいんですか?
「この商品を取り扱いたい」とか、「提案してもらった売場にしてみようかな」って思ってもらうには、
どうすればいいんだっけ?
ってことは、今まで仕入れた情報からTMスーパーさんの問題は何かをまず言わないといけないですね!
「状況の要約」っていうのはいわゆる現状の事実や見解をまとめること。
市場データやPOSデータから「市場全体ではこうなっています」とか「御社の売上の推移はこうなっています」とか。
この前、売場を見に行った時の様子もそうだね。「売場でのお客様の選び方、買い方はこうでした」とか。
あとはこれまでに取り組んできた売場や販促の施策があるなら、その結果とかね。
「問題提起」も以前教わりました!目標と現状の差が問題になるんでしたよね。
TMスーパーさんの方針とか目標と「状況の要約」で整理した現状を見比べればいいんですね。
そのあとはどうしたらいい?
だから問題を解決するためのポイントを伝える、いわゆる「課題」を示すんだ。
例えば「こういう問題があるので新しいお客様を獲得しましょう」とか「買ってもらう数を増やしていきましょう」とか。
でもバイヤーの心を動かすにはあと一押し欲しいところだね。
売場で展開するイメージとか、それに向けたスケジュールとか、提案を採用してくれたときに見込める 実績とか、そこまでは明確に示せなくても「ここまで達成しましょう」という目標を共有したりね。
■本部商談奮闘記 今回のポイント
今回は「提案作成」の際にいきなりPowerPointで資料化しようとする、というありがちなNG例を取り上げ、事前に整理しておくべき内容や提案の流れ(ストーリー)についてざっくりと触れてまいりました。
各内容の詳細はまた別の回で解説を加えていこうと思います。
- ★今回のポイント★
-
- 提案作成でいきなりPowerPointはNG!
- 資料化の前に、伝える内容と流れ(ストーリー)を整理、下書きしよう
- 説得力のある提案のストーリーは
「状況の要約」⇒「問題提起」⇒「課題設定」⇒「解決策」⇒「具体的なメリットや実施案、目標」
筆者