消費財メーカーの営業力強化の視点
営業力の強化は永遠のテーマですが、環境の変化に伴い、求められているスキルや知識が変化してきています。 これまでに営業強化に向けた様々な取り組みをされてきたメーカー様でも、時流に合わせたテーマ・内容で人財育成プランを再構築するようなご相談が増えています。
皆様は「営業力を強化せよ」という命題を突きつけられたら、一番最初に何を考えるでしょうか。
「やっぱり商談のトークかな」「オンライン商談のポイントじゃない?」「提案の内容でしょ」「パワポの資料作成なんかも大事だよ」 色々なお声が聞こえてきそうです。
今回のコラムでは、私たちが多くの消費財メーカー様の営業力強化をお手伝いさせていただいている事例をもとに、何を考えるべきか、どう進めていくことが効果・効率的なのかといったポイントについて、お届けしていきます。
第1回(今回)「営業力強化:一番初めに何を考えることは何か」
第2回 「営業力強化:誰から強化を進める?! 若手からが始めやす い?」
第3回 「営業力強化:マネジャーの強化はどう進める?」
第4回 「営業力強化:組織全体で進めた成功事例」
第5回 「営業力強化:営業サポート部門の強化はどうすべき?」
一番初めに考えるべきコト「目的」と「ゴール」
営業力強化を進めていくと、検討事項が「研修のテーマ」に偏りがちになる事が発生します。
前述のように、「今はオンライン商談だよね」とか、「提案書のPPTの作り方じゃないか?」といったように「テーマありき」で議論が進んでしまう現象をよくお見掛けします。これはごく自然な流れであり、このこと自体は問題ではありません。
しかし、「何のために営業強化をするのか?」が明確になっていないとすると、それは問題です。
目的の達成・ゴールに向かうために、現状はどのような状態になってしまっているのか?
実現すべき状態に持っていくために、何を施すべきなのか?それを今最優先ですべき事なのか?
これらを整理せずに「テーマありき」の議論をしてしまうと、本来とるべき行動からどんどん離れていってしまいます。
スキルを強化したいからといって、無条件に新しいテーマに打ち込んでしまうと発生しがちな問題です。
そのためにも、毎回新たな行動を計画する際には、「目的」を確認しながら進めることが重要ですね。
ということは、
営業力強化のために、真っ先に考えるべきことは「目的」であり、「なんのために実施するのか」を明確にすることが必要です。
また、いつまでに、どんな営業になっていくべきかという「ゴールの設定」に関する議論も大事なことです。
次にすべきことは?「現状把握」と進め方 現場アンケート実施時の留意点
「目的」と「ゴール」を設定したら、それと同時にすべきことは、「現状把握」です。
「ゴール」と「現状」のGAPを見つけ、解決のための打ち手を検討することに必要だからです。問題解決のオーソドックスなフレームワークですね。
現状把握については、営業現場へのアンケートを取られるケースが多いですが、アンケートを実施するにあたって注意すべきなのは、必ず「仮説」を先に設定しておく事です。
「おそらく、こういった事に困っているはずだ」「このような現状があるに違いない」
こうした仮説を持っていないと、営業現場の意見に左右されすぎてしまい、「本来実現すべき姿」と「現場がやりたい事」の乖離が起きてしまう事があります。
ただし、営業現場の現状を確認し、営業強化に対して現場のモチベーションを高めるのは非常に大切な事ですので、私たちが最もオススメしたいのは、現状よく使用されているの提案書を収集し、その上で仮説をたてて、キーマンにヒアリングをかけるやり方です。
まずは実際の提案書から「不足点」「充足点」を判断し、ポイントを絞り込んだ上で実際の商談の内容(口頭での提案内容)についてヒアリングを行い、何ができていて、何が足りていないのかを確認していくようなやり方です。
可能であれば、直接小売業にヒアリングにし行く、という方法もかなりオススメです。
「弊社に足りていない事は何でしょうか?」と尋ねると、親身になって回答頂けるケースは非常に多いです。
いかがでしたでしょうか。
効果・効率的な営業力の強化のために、「目的」の設定と「現状把握」の重要性、把握の仕方についてお伝えしました。
次回は、「どの層から手を付けるべきか?」についてお伝えいたします。
筆者