本シリーズコラムの最終回です。
最後は、営業担当者の方ではなく、営業のサポート部門の強化について、お伝えをしていきます。
営業サポート部門の主たる業務は何でしょうか?
営業サポートといっても、皆様の組織では「何を」「どこまで」サポートするのか、定義されているでしょうか。
市場やPOS等のデータ分析や情報収集、販促企画やフィールドスタッフ部門の管理など、これは各メーカー様によって千差万別です。
メーカーによって考え方が違い、結果として推進業務が違うことは当然のことのように感じますが、大きな問題は、「会社として、営業サポート部門のあるべき姿」が定義されていないケースが多いことです。
ここで考えてみたいのは、営業サポート部門に求める「主たる業務は何か?」ということです。
営業サポート部門では、その時々により現場から必要とされる業務を切り出して、部門の業務と位置付けていることが多く、結果として「何をすべき組織・グループか」という根底にあるべきものが無い、ということが非常に多く見受けられます。
また、営業サポートスタッフの「ヒト」によってもサポート内容が異なる、ということはないでしょうか。
「前にAさんがいた時はここまでやってくれていた」「今のBさんは●は苦手だけど、◇は得意」ということは「あるある」です。
上記のように、時々の必要性に合わせた業務、スタッフの「ヒト」に合わせた業務として部門を運営されるのではなく、自社の営業組織として、何を強化すべきなのかという全体の方向性を明確にした上で、営業サポート部門に何を期待するのかということも明らかにすることが必要ではないかと考えています。
営業組織の現状の過不足を確認し、「あるべき姿の実現に向けて"ヒトに業務を付けるのではなく、業務にヒトを付ける"」ことに向けて、スタッフそれぞれのスキルを平準化することが、組織を全体として強化することにつながるのではないでしょうか。
上記のような取り組みを進めていくことで、業務がヒトについてしまい、ある人は非常に多忙で、ある人は比較的余裕があるという「あるある」の解消にもつながっていきます。
"既存業務"と"新規案件"で、担当を切り分ける
それでは、具体的にどのように営業サポート部門の業務を定義していくことが望ましいのでしょうか。
営業サポート部門はプロジェクト的に複数の業務を抱えていることが多くなっていますが、既存業務をやりながら、新しいことを考えていくことは非常に困難を極めます。
そのため、考え方のひとつとして、既に業務が走っていること(例えば、提案書作成支援やPOS分析支援等)と、新規案件(AI活用、デジタル化推進、システム導入等)とで担当を分けることです。
(「そんなに人がいないよ!」という声も聞こえてきそうですが、そうだとすれば「〇〇を実現するために、スタッフ部門は●名必要だ」と上申する他ありませんね...。)
このように「既存/新規」で担当を分けつつ、担当別に必要な教育機会を提供することが営業サポート部門の強化につながってくると考えています。
例えば、既存業務担当の方には、より効果的・効率的な業務推進のための知識・スキルのインプットが大事ですし、新規案件担当の方には、最新技術や他社の取り組み事例の研究等がとても重要になります。
さて、いかがでしょうか。
全5回でお伝えしてきた「消費財メーカーの営業力強化の視点」についてはここまでとなります。
主には考え方を中心にお伝えをしてきましたが、企画などを進められる際の参考としていただけますと幸いです。
今後は、「営業強化の具体的な中身~どんなスキルが必要?どうやって強化する?!」についてもコラムを整理していきますので、お楽しみに。
筆者