消費財メーカー様の営業力強化に役立つ内容を、マーケティング研究協会トレードマーケティング部が配信している本コラム。
前回は営業スキル強化の際には「全体像」から整理するという内容をお伝えしました。
今回は、ベース知識・スキル(提案営業の基本/小売業・業態理解/売場理論/消費者・ショッパー行動理解)の強化ポイントについて、お伝えいたします。
- 第1回 営業スキル強化:
どんなスキルが必要か?大きく3つに分けられる」 - 第2回 営業ベース知識・スキル編:
提案営業の基本/小売業・業態理解/売場理論/消費者・ショッパー行動理解 - 第3回 営業プランニングスキル編:
情報収集/仮説立案・課題抽出/提案内容の検討 - 第4回 営業実践スキル編:
データ分析・提案活用/店頭実現/実践検証/提案資料作成/プレゼン・交渉 - 第5回 営業力強化:
スキル強化の進め方のポイント
必要なスキルを強化するためのポイントについて、お伝えしていきます。
■小売業への営業力強化のためには、ベース知識・スキルを強化する必要性が高まっている
前回の内容で簡単にお伝えをいたしましたが、昨今の営業現場では、ベース知識・スキルを強化する必要性が高まっています。
例えば、得意先(小売業)の競争環境を理解していないということや、提案のために必要な行動などを把握できていないということがよくあります。そのため、提案スキル強化についていくらトレーニングをしても、土台がグラグラで、モノになりにくいということにつながります。
では、そもそもどのような内容がベース知識・スキルと言えるのでしょうか。
■ベース知識・スキルの種類
私たちは主に提案のための考え方や、提案をしていくために必要となる次のような知識・スキルを"ベース"と考えています。
- 提案営業の基本的考え方と行動:提案って?商品を案内・紹介することとは何が違う?
- 小売業・業態環境:対象得意先の業態の状況は?得意先の競合関係は?
- 売場理論:商品が展開される売場について知らないと、得意先に響かない=どこに置くの?なんでそこなの?
- 消費者・ショッパー行動:消費者について理解しないと、買ってもらうための施策を検討できない
など
極端ですが、これらの知識・スキルが身についていない中で提案内容の検討を進めても、「誰の」「何に」「どのように」役立つ提案なのかが不透明なものとなり、自社目線の強い、エゴ的な営業になってしまう可能性が高くなってしまいます。
■ベース知識・スキル①「提案の営業の基本的考え方と行動」の強化
小売業から"カテゴリーへの貢献"が求められているのにも関わらず、自社目線での提案が色濃いメーカー様も非常に多いのが現状です。
そういったケースで厄介なのは、自分たちは「ちゃんと提案している」と誤った認識を持たれていることが多いことです。
この解決策のひとつとして、私たちが良く実践する手法は、私たちが見聞きした小売業の方やOBの方からの声を包み隠さずお伝えし(※)、求められる提案に必要な要素について解説を行い、チェックリストなどを用いてこれまでの行動、提案内容の出来ていること/出来ていないことを明確にする方法です。
※私たちのパートナー(小売業経験者)の方のお声や弊社で実施している小売業を対象とした調査結果などからお伝えしています
営業教育を受ける方々に、自分の過不足を確認いただき、「何が出来るように、何に取り組むか」を自分で検討いただくことがとても重要になるということです。
■ベース知識・スキル②「小売業・業態環境/売場理論/消費者・ショッパー行動」の強化
前回も少し触れましたが、これら基礎知識の強化ポイントとしては、「学んでおしまい」にさせないことです。
学んだ知識を自分の行動にどうつなげ、スキルとしてモノにしていくのかについて、学ぶ意味からお伝えする必要があるということです。小売業・業態環境について理解したとしても、それを実際の営業活動に活用できなくては意味がありません。学んだ小売業の競争環境をもとに、担当する得意先の動向はどうなっているのかを考えられるかどうかが、提案を検討する上で非常に重要になってきます。
例えば、自分の得意先が競合として意識している先はどこで、どのような点で差別化を図ろうとしているのか、その上で、自社商品で貢献できることは何か、このようなことをつなげて考えられる思考が大切になってくるということです。
また、消費者・ショッパー行動についても、「こんな傾向がある」だけではなく、「その傾向を踏まえて、どんな提案を売場で実現させないといけないのか」を考えてもらうことが、採用率を高めることにつながっていきます。
いかがでしたでしょうか。
知識教育についても、学ぶ根拠や背景、活用イメージについてお伝えすることで、その後の行動が大きく違ってくるということでした。
次回は、提案のキモである「営業プランニングスキル」の強化についてお伝えいたします。
筆者