コラム

食品メーカー向け
成長する業務用営業組織のつくり方
第4回 受注率を上げるには

マーケティング研究協会

近藤 崇司

2023.05.29.Mon.

1.はじめに

大好評!成長する業務用営業組織のつくり方の第4回は「受注率を上げるには」です。
今回は、前回「適切な商談を実施する」の深掘り版となります。
商談の受注率を上げるために抑えるべきポイントについて、これまで同様に内田さんに解説していただきます。
食品メーカーの業務用営業部門で責任者、マネジャーを務められている方はぜひご一読ください。

2.商談の成果を表す式

商談の成果(売上)は、商談回数✕受注率✕1案件あたりの受注金額
で表すことができます。

前回のコラムでは、この式の商談回数に関連して商談を実施するタイミング「いつ実施するか」と「誰と」商談を実施するかの2つのポイントを押さえて適切な商談を実施しましょうという話をしました。
今回は、上記の式にある「受注率」をどう高めるかについて説明をしていきます。


3.受注率を高める4つのポイント

商談の受注率を上げるには何が必要でしょうか。いろいろな要素がありますが過去の経験上大きく4つのポイントがあると考えています。
今回はその4つのポイントに付いて解説していきます。

ポイント①信頼関係の構築
1つ目のポイントは、商談相手との信頼関係の構築についてです。オンライン商談の増加やルート営業で定期的に商談を実施できていると信頼関係についての意識が希薄になりがちですが信頼関係は商談を実施する大前提としてとても重要です。

信頼関係には、企業としての信頼とあなた本人の個人としての信頼の2つがあります。企業としての信頼は企業の歴史やこれまでの取引や実績などが挙げられます。では個人の信頼とはどのようなことから成り立っているのでしょうか。

まずは接触頻度です。
皆さんもよく知らない人から物を買うときに慎重になるように、商談相手も慎重になります。

最初の壁を取り払うために必要な要素は、「よく知らない」という状態を脱することです。そのために重要なのが、接触回数を上げるということです。ザイアンスの法則などでも言われていますが接触回数の増加は信頼関係構築の第1歩です。

1回の長い商談よりも短い商談を複数回実施したほうが信頼関係が高まるということです。現在は対面、電話やメール以外にも多くのコミュニケーション手段があります。
こうしたツールを上手く活用して接触頻度を高めることを意識してください。

次に、商談の質についてです。これについてはポイント②以降を御覧ください。


ポイント②得意先のニーズや要件を正しく把握する
信頼関係を構築することで得られるメリットの1つに、得意先の情報をより多く得られるという点があります。

信頼関係を生かして得るべき情報の1つが、得意先のニーズや要件を把握することです。そのために、得意先がどんなニーズや要件を持っているか仮説を立てる必要があります。

得意先のニーズや要件は、それぞれの立場により見方が異なります。

1つの問題についても重要度や要因分析は立場によって異なることがよくあります。そのため、得意先にこんなニーズがあるだろう、こんな要件を提示されるだろうと仮説を立てて、仮説に基づいていろいろな立場の方にヒアリングを実施しします。
ヒアリングによりニーズや要件の確からしさを高められます。

こうした活動により得意先のニーズや要件の精度を高めることで、提案のカスタマイズ度合いや具体性もより高くなり、結果として受注率が高くなります。230529.jpg


ポイント③商品の利点や差別性を伝える
得意先に対して自社商品や提案の利点や競合商品との差別性を明確に伝えることです。

食品メーカーは試食や試飲によって商品に語らせることが多くありますが、自分の言葉で自社商品を取り扱う利点や競合商品との差別性を伝えられる必要があります。

その際のポイントは、自社商品や提案がどのように得意先のビジネスや効率化に貢献するのかを具体的に示すことです。

通常、得意先が自社商品や提案を採用するのは、採用による「メリット」に魅力を感じた際です。自社商品や提案を利用することで得られるメリットを味や風味など定性的な要素だけでなく、ROIの改善など定量的な面からも伝えるようにしましょう。

また商品や提案を採用した後の効果的なサポートメニューも魅力的な利点になりますので得意先がどのようなサポートを求めているのかについても把握してプランを準備するようにしてください。

得意先に対して良いプランをつくるためには、社内の協力を得ることは不可欠です。
有効な協力を得られるように日頃からネットワークを構築し、
社内の信頼関係もつくり上げておくようしましょう。
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ポイント④継続的な改善と学習
受注率を上げる上で最も重要なことは、自社の営業プロセスやアプローチ内容を継続的に評価して改善し続けることです。営業プロセスやアプローチを評価するためには日頃から得意先のフィードバックを得る必要があります。

定期的な満足度調査や営業マネジャーによる訪問などの手段を用いてフィードバックを得るようにしましょう。

フィードバック情報を活用して営業活動を継続的に改善するために学習が必要になります。学習で得られた内容を営業現場にフィードバックして現場の業務改善や営業担当者の人材育成に活用していきます。

令和の時代は「営業は背中を見て育つ」では営業担当者を育成できません。どのような営業活動をおこなうべきか、なぜその活動を行う必要があるのかを伝え営業担当者が納得しなければ新しい取組みは現場に定着していかないといえます。

忙しさを理由に業務改善や人材育成は後回しにされがちですが営業マネジャーにはこうした点に常に目を向け、改善していくことが求められます。


今回は商談で受注率を上げる4つのポイントについて説明しました。それぞれの企業でできていること、いないことがあると思います。

まずは現場を確認してどこに改善余地があるのかを見出すことから始めてください。


次回からは営業マネジャーの役割、マネジメントについて解説していきます。営業マネジメントについて悩んでいる方々はご期待ください。
次回もお楽しみに。

【業務用営業担当者の営業力強化なら】
マーケティング研究協会では、「業務用営業担当者向けトレーニング」をご用意しています。
詳しくは下記よりご確認ください。

https://marken.hp.peraichi.com/gyomuyo2023

食品メーカーの業務用営業に特化したトレーニング・営業組織強化や新規取引拡大などのご支援はいつでも担当の近藤宛にご連絡ください。
担当:マーケティング研究協会 近藤(kondo@marken.co.jp)

筆者

マーケティング研究協会

近藤 崇司

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