第6回では、育成担当者(教える側)に対する教育支援について触れました。(第6回 OJTの体制づくり2「育成担当者の教育支援」)
第7回では、マニュアル作りの現場に戻り、教育要素を洗い出す工程でのインタビューの重要性について触れていきます。そして、弊社のような第三者が介入してその工程を行なうメリットはどんなところにあるのでしょうか。
1.育成現場のインタビューから見えること
マニュアルを作る際に、まず教育要素を洗い出し整理するというプロセスは、皆様も必要不可欠だという認識だと思います。方法としては例えば、マニュアル作成のプロジェクトメンバーで、業務内容のブレインストーミングをするようなイメージを持たれているのではないでしょうか。
弊社でマニュアル作りをご支援する際は、そのようなブレインストーミングに加え、現場のインタビューを実施させていただきます。なぜ現場インタビューをするかというと、業務内容を確認する意味もありますが、プロジェクトメンバーとのディスカッションだけでは見えてこなかった「現場のホンネ」、「現場ならではの業務の工夫やルール」などが見えてくるからです。
2.第三者によるインタビューのメリット
弊社のような第三者が現場の声を聞きに行くメリットとしてはやはり「客観性・中立性を保てる」ことにあるのではと考えています。
組織人としての立場、利害関係がある中では、現場がいつも本音をさらけ出してくれるとは限りません。また本部には当然、本部としてのお立場や発信していることがあるので、それらを一旦横に置いて、先入観を持たずに現場に耳を傾けるというのは、とても骨の折れる作業です。
第三者であれば、組織へのしがらみもなく、客観的に本部の考えと現場の実態を把握し、課題解決のための策を提示しやすいのです。
過去のインタビューで出てきた例として、こんなことがありました。
●以前研修で学んだビジネスマナーと、現場のやり方が違う。どちらが本当は正なのか、実は若手に説明できない。
●営業同行したときは、とにかく良いところを3つ以上見つけてすぐ褒めるようにしている。それから改善点を言うようにしないと、若手は本気でへこんでしまう。
●新しく入ったメンバーの役割を期待されるが、年齢も近いし、上から目線と思われると人間関係に影響がでる。
現場のインタビューしておくと、このような現場の声をふまえ
「本部としてマナーをこのように統一し、ブランドとしての考え方を解説に盛り込みませんか」
「現場で行われているこのやり方を、事例としてマニュアルに盛り込みませんか」
「若手育成を期待する立場の方にはテストを受けてもらい、育成の合格者としてバッジをつけてもらうことで立場をサポートしませんか」
といった意見交換やアイデア出しに展開していきます。
現場インタビューは、業務の棚卸や確認にとどまらず、現場の人材育成を推進するヒントを見つけることができる重要な場なのです。
次回はいよいよこのコラムも最終回です。マニュアル教材の多様性について述べていきます。
筆者
マーケティング研究協会
中村 佳美
商社の事務職、営業コンサルティング会社の営業職を経て、2012年マーケティング研究協会入社。企画営業職として、クライアントの営業力強化、マーケティング強化を支援している。クライアントの支援を通じて学んだ人材育成ノウハウ、新人時代に受けた上司の優れたOJTの経験を活かし、営業販売部門のOJT・人材育成業務のマニュアル作成支援も行っている。