2019年12月02日(月)UP マーケティング

医薬品プロダクトマネージャーの育成を考える
~ブランドマネージャーの初期教育の重要性 私の経験から~

私がマーケティング部門に異動になって担当したのは、同じ領域で半年後の上市を控えた新製品と異動の2年ほど前に発売された製品の2つでした。特にマーケティングの経験の無い者がこのようなケースに当たることは今では珍しいかもしれません。容易に想像できるかと思いますが、着任直後から覚えるべきことや、年単位で予定されているイベントの対応そして何よりも新製品の発売準備(つまりプラン作成)などで、基礎知識を包括的にインプットできるような機会も時間も殆どありませんでした。そんな中でも、公開プログラムでの1日単位の外部研修への参加や、同じ領域のマーケティング部に同時に配属された先輩そして何よりも上司である部長のOJTは、多くの収穫を与えてくれたと思います。


振り返ってみると、尾上氏の提案する2と3(~ブランドマネージャーに任命してからの初期トレーニングをどうするのか?~)は実践していたことになります。最近では、たとえ同じ領域であってもお互いのプランを披見し合い、アドバイスや時には批判を受けるという機会が減っているのではないかと思います。まずは社内でのこうしたコミュニケーションの機会を持つことを強くお薦めしたいと思いますが、これだけでは少し心許ないのではないでしょうか?もっと確実に若手を育成するためにはどうすべきなのでしょうか?


尾上氏の提案1にあるような赴任前の研修について考えてみると、長い時間を掛けて習得してきた経験や知識について、もっと短期間で包括的に学ぶようなカリキュラムを受けたいと感じます。MBAなどの資格取得でも多くの項目は代用・摘要できるかもしれませんが、担当して間もない若いブランドマネージャーにとってとても大切なことは、一定程度以上の理論を知った上での担当製品の戦術実行に関わる実践的な中身ではないかと思います。その意味では課題発見や課題解決の手法、ロジックツリーやプロジェクトマネジメントなどのスキル・知識・考え方を早期に習得できるような機会を持ちたいところです。これらの基礎が身につくとブランドプランの構成がなぜこうなっているのか?このパートから次のパートにはどうやって繋がっていくのか?なぜこのデータが重要(必要)なのか?などをより深く理解できるようになることでしょう。


また、よくデザインされた市場調査は、戦略策定のためのインサイトやレバレッジ探索には不可欠だと思います。社内の調査部門への短期社内留学や統計学を含んだ比較的長期な研修プログラムの受講などもプランの精度を上げるだけではなく、仮設検証型思考や論理的思考を身に付けるためにも非常に有効だと思います。会社の状況によってはこうしたプログラムを提供できていないこともあるでしょう。そのような場合には、管理職ならば予算と若手が学ぶ時間を確保できるように工夫したいですし、本人であれば自己啓発の観点から外部の研修を探して自ら受講できるよう上司に働きかけるなどの積極性を発揮したいところです。下記に私の考える初心者マーケターにとって必要なインプットをお示しします。参考になれば幸いです。



区分

インプット項目

内容

直後

必須

ブランドプランの基礎

プランの構成要素や用語解説

必須

ロジカルシンキング

論理的思考による課題解決能力の取得

必須

セカンダリーデータの見方、操作

社内調査部門のレクチャーなど

選択

販売予測手法: 必要に応じ

アサンプションの設定方法など

赴任1年以内

必須

市場調査立案手法

仮説検証型調査の設計

必須

プロジェクトマネジメント基礎

ミニMBA

選択

ディザスターマネジメント基礎

危機管理手法

選択

ブランドプランの実務

白紙からの作成ができるスキル



コラム筆者紹介

講師紹介

nopicture

講師名 末延 成彦
所属 元外資系製薬企業 マーケティンググループマネージャー
略歴 10年超のMR経験を経て、複数の外資・内資製薬企業のマーケティング部門にてジャンルの異なる疾患領域の製品マーケティング業務を担当。 プロダクトマネージャーやグループマネージャーとして新製品の発売や適応追加などを数多く経験。2018年11月より個人でマーケティングコンサルタントとして活動し、現在に至る。信条は、医薬品の価値最大化を通じた患者さんと医療の発展への貢献の追求。
コラム 医薬品プロダクトマネージャーの育成を考える

コロナがもたらす医薬品マーケティングへの影響

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