2019年12月02日(月)UP マーケティング

医薬品プロダクトマネージャーの育成を考える
~ブランドマネージャーに任命してからの初期トレーニングをどうするのか?~

ブランドマネージャーとして任命後の初期、おおむね2年以内のトレーニングをどうするかをここでは考えます。医師や看護師、MRでは詳細に初期トレーニングプログラムが決まっているのに、ブランドマネージャーでは、無法地帯になっていることは既に書きました。


ブランドマネージャーになると、その日からおびただしい量と種類の仕事が待っているので「ゆっくり研修などしている時間はない」、という現実がまずあります。


おそらくOJTなど日常業務を通じて仕事のやりかたを学ぶことが一番ですし、それを超えるのは難しいでしょう。実際、ブランドマネージャーが業務上で判らないことに出くわしたとしたら、同僚に聞く、上司に尋ねる、社内のイントラで探す、過去の実績や記録を見る、ググる(検索する)などの方法で対処するはずです。実際、我々の学びの70%はon - the - jobから来るというデータがあります。

これは 70-20-10の法則(70-20-10 Guidance)といわれるものです。みなさんは聞いたことがありますか?

我々の学びのうち70%はオンザジョブのアサインメントつまり業務経験そのものから来ていて、20%は(直接の仕事以外の場で)他者から学び、残りの10%を正式な研修から学んでいる、という数字で、Center for Creative Leadershipが1980年代に行なった調査から得られたものです。成功したリーダーたちに「あなたはリーダーシップをどのように学びましたか?」という質問をしたその回答結果です。

この数字をそのままブランドマネージャーの学びに置き換えることは意味がありませんが、おおよその感覚はつかんで頂けると思います。


そうした背景を理解した上で、ブランドマネージャーの初期研修について、ここでは3つの提案をします。


  • ●提案1:ブランドマネージャーとして着任する1~2週間前に、つまりまだMRとして引き継ぎなどをやっている時に2~3日のマーケティング研修を実施する(時間が捻出しやすいのはブランドマネージャーになる前なので)

  • ●提案2:最初の1年間は同じブランドマネージャーの先輩をメンターとして付ける(製品や領域は異なっていても構わないので、数年先輩で相性の良い人物。メンター自身の育成効果も大きい)

  • ●提案3:ブランドプランの共有を四半期に行なう

ブランドマネージャーの仕事のうち、最も困難が伴うのはブランドプラン作成です。

KOLマネジメントや、講演会企画、学会対応などはMR業務の延長でも実行可能ですが、プラン作りはしっかりとしたロジックと、市場理解が求められます。この点で、現在のブランドプランを他の多くのブランドマネージャー(同僚)たちがどのように作っているのかをもっと共有しなければ、OJTでの学びが深まりません。現在はサイロ現象がどの企業でも強く表れていて、「自分の製品以外のことはほとんど知らない」という状況で動いているケースが多いのです。少なくとも四半期毎に数製品ずつでもプランのレビューや共有があると、良いブランドプランはどういうことを押さえているのかが学べます。


働き方改革は、ブランドマネージャーの仕事ぶりも大きく変えてゆくでしょう。そのなかで、どのようにその育成を仕組み化し見える化していくのかを考える必要性が、これからいっそう高まってきていると言えます。



コラム筆者紹介

講師紹介

講師イメージ

講師名 尾上 昌毅
所属 株式会社マーケティング・インサイツ 代表取締役
略歴 北海道大学薬学部卒業後、プリストルマイヤーズ、キリンビール(現協和発酵キリン)ノバルティスファーマに勤務。11年のMRを経験後、教育研修室長、プロダクトマネージャー、マーケティング部長、事業戦略部門長などを歴任。2009年より現職でマーケティング研修・コンサルティングを手掛ける。患者さんや医療従事者のインサイトを取り入れた、開発時から発売後までの幅広いマーケティングの可能性を追求している。
コラム 医薬品プロダクトマネージャーの育成を考える

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