2019年11月08日(金)UP マーケティング

医薬品プロダクトマネージャーの育成を考える
~ブランドマネージャーの選抜の仕組み 私の経験から~

前回のコラム(~ブランドマネージャーの選抜 私の経験から~)に触れた社内で実施された中堅MR選抜の研修についてお話ししたいと思います。


地方の県でチームリーダーとしてMRをしていた私は、支店長に推薦された他の候補者30名ほどと共に、マーケティングを学ぶ基礎講座のプログラムを受講しました。半年ほどの期間内に月に一度の集合研修を受けるために東京まで飛行機で移動するのは時間的制約もあって、かなりタフな時期でした。現代の労働環境に対する考え方では非現実的かもしれません。加えて、インターバルにはかなりのボリュームの宿題も提示されていました。遅い時間の大学病院での活動を終えてから自宅に戻ってそれらの課題に取り組んでいる間は、オフの時間を取れていなかったように記憶しています。


このプログラムは、外部コンサルタントを招いて3年連続で実施され、毎年30名ほどが受講していました。私たちは最後の年の受講生でコンサルタントの講師も企業のカラーや参加者の意識などが分かっていたのでしょうか、かなり面白く勧めてくれたことを今でも覚えています。講義の内容は、医薬品に特化したものではなく、広義のマーケティングはもちろん、最初の事例では、競争原理では最も科学的な研究が進んでいる戦争(マーケティングの原点ですね)を題材としていました。 具体的には、司馬遼太郎の「坂の上の雲」がテキストでした。この小説は愛媛出身の兄弟が日露戦争の海、陸両面で勝者となる原動力となったことがテーマですが、前半は同時期に同郷だった正岡子規と過ごした青年期までが描写されていて、なかなか本題に入らず困惑したものです。しかし、秋山兄弟がそれぞれの参謀という立場で活路を見出す戦略を作り上げていく様は、203高地の戦略なき兵隊の消耗という愚策との比較を通して我々に「戦略の重要性」「それを実現するために何をすべきか?」をいきいきとした描写で教えてくれました。


今の時代にこんな内容の研修は、あまり人気がないかもしれませんが、肝心なことは、内容ではなく、中堅MRで可能性がありそうな候補者を多めにリストアップして、彼らに何かしらのインプット(刺激)を与え、その反応などからより適切な人物に絞り込むというプロセスを企業が実施したことだと思います。


前回述べたように私はこのプログラムでの結果が要因の1つになって直後にマーケティング部門へ異動となりました。戸惑いもありましたが、こうしたスクリーニングプロセスをパスしたのだからという事実は、その後の業務遂行において大いに支えになってくれたのです。

コラム筆者紹介

講師紹介

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講師名 末延 成彦
所属 元外資系製薬企業 マーケティンググループマネージャー
略歴 10年超のMR経験を経て、複数の外資・内資製薬企業のマーケティング部門にてジャンルの異なる疾患領域の製品マーケティング業務を担当。 プロダクトマネージャーやグループマネージャーとして新製品の発売や適応追加などを数多く経験。2018年11月より個人でマーケティングコンサルタントとして活動し、現在に至る。信条は、医薬品の価値最大化を通じた患者さんと医療の発展への貢献の追求。
コラム 医薬品プロダクトマネージャーの育成を考える

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