2016年11月06日(日)UP 人材育成

OJTを機能させる4 :熟達化調査:ライフチャート

前回、熟達化研究の先行研究のレビューを実施した話を説明しました。
先行研究では、ある程度抽象化された事象が説明されており、例えばハイパフォーマーといわれる方が具体的にどのようにハイパフォーマーとなり得ているのかなどはわからないままでした。

今回は、実際に幾つかの企業にご協力いただき、具体的な出来事やその時考えていたことなどをインタビューさせて頂きながら明らかにしていきました。
調査方法としては、まず調査対象者にライフチャートを記していただきます。
ライフチャートは、入社から現在までのそれぞれの方のモチベーションの増減を記して頂くものです。
大きく増減している時に何が起こったのか、どのように対処したのかなどをヒアリングするという調査を実施しました。


まず、ライフチャートを通じて明らかになったことは、ほぼ全員が入社と同時にモチベーションが大きく下がっているということです。
いわゆる、「理想と現実のギャップを知る」という状態です。


特に営業については、新卒時に思い描いていた仕事の様子と実際の仕事の泥臭さ、細かな手続きお客さんとの関係などの面でギャップを感じることが多いようです。


実際、「大学を卒業してこんな仕事をすると思わなかった」というような発言がとても多かったです。
また、学生時代との環境の変化への対応に苦慮する様子も伺えます。


実際に営業活動に従事してからもいろいろなことが起こります。
特にモチベーションに大きな影響を与えているのが異動に伴う環境変化です。
先行研究でも、「異動に伴う困難(新たな責任、能力を周りに示す必要性)」が営業担当者の熟達を促進する一つの要因とされていることと同様の結果でした。
特に若い時代での異動については大きな困難と捉えることは少ないですが、ある程度経験を積んでからの異動に関しては、移動先の部署の状況、新たな役割や責任に対するプレッシャー、周囲に能力を示す必要から必ずしも前向きに捉えられているわけではないということがうかがえます。


しかしながら、直面した困難に立ち向かえるか否かについては先行研究では記されていません。
実は、ある程度のベテランになってからの異動に伴う困難に立ち向かえるか否かは、先程記した入社直後のモチベーションダウンと大きく関係しているのです。
入社直後にモチベーションが大きく下がった場合、そのままモチベーションが下がり続け、場合によっては退職に至るケースと、理想と現実のギャップに苦しみながらも「こんなはずじゃない」「いつかチャンスを捉えてやる」という内なる思いを高めるケースにわかれています。
後者の場合、その後の異動に伴う困難を困難ではあるけれども、一方で現状を変えるチャンスでもあるという捉え方をしています。
そのためこのチャンスを生かそうという思いも芽生えていき、困難に立ち向かう事ができるという訳です。


このように一方ではマイナスに働く出来事が、他方ではプラスに作用するという点も興味深い出来事です。


調査でも、部署の異動や業務の変更により「転職したように業務内容が大きく変わった」という方もいらっしゃいましたが、やはりチャンスと捉えて苦労をしながらも前向きに取組んで来たという話を伺いました。
困難に立ち向かう際に、なにを拠り所としたのかなど、実際にどのように成長を遂げてきたのかについては次回、成長プロセスマップを通してみていく予定です。


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コラム筆者紹介

講師紹介

講師 近藤 崇司
所属 株式会社マーケティング研究協会
代表取締役社長
略歴 立教大学大学院経営学修士課程修了。
食品メーカーへ入社後、エリアセールスとして大手量販チェーンに対しての
店舗営業を経験後、本社にてナショナルチェーンに対する施策策定などの対量販営業強化業務に携わる。 その後、株式会社マーケティング研究協会入社、消費財メーカーを中心に、競合調査、消費者(来店客)・流通調査などの各種リサーチ、販売データ分析などのデータ分析、それらを用いた戦略構築などの業務を数多く実施。
多岐に渡る支援実績から、クライアントからの信頼は高い。

【主な業務支援内容】

 1)メーカーのチャネル戦略構築支援
    流通調査、販売データ分析などからの販売戦略立案

 2)メーカーのMD政策作成支援
    販売データ、来店客調査などからのカテゴリーMD政策立案

 3)メーカー・小売業などでの各種消費者調査
    定性調査:グループインタビュー、デプスインタビュー
    定量調査:来店客調査、CLT、インターネットなど

 4)メーカー・小売業での人材育成支援
    教育研修の企画・実施

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