2016年9月06日(火)UP 人材育成

OJTを機能させる3 :熟達化研究の先行調査

前回、中堅社員の育成を熟達化理論に当てはめて考えてことに至った経緯を説明しました。
では実際、熟達研究は営業を対象にどのような研究をしているのでしょうか。
熟達研究を中堅社員に当てはめ、確認したいことを整理します。

 1.人の成長過程(プロセス)には段階や法則がある
 2.必要な教育支援はその時抱えている悩みや環境により大きく異なる

ということです。

上記のポイントから、東京大学の安斎先生にいろいろと教えて頂きました。
まず、営業担当者の熟達化を調査した研究は事例が少ないということです。
その少ない研究の中で以下のことが明らかになっているそうです。

 1)営業担当者の熟達を促進する組織特性や職場環境
 2)ハイパフォーマー(高業績者)はどんな経験をしているか
 3)営業担当者はどのような方法で学んでいるか


1)営業担当者の熟達を促進する組織特性や職場環境では、

  ・異動に伴う困難(新たな責任、能力を周りに示す必要性)
  ・業務の特徴(変革の創造、重い責任、仕事の多様性、負担の大きさ)
  ・業務上の障害(困難な状況、サポートの欠如、難しい上司)

などがきっかけになるとされています。
やらざるを得ない状況に追い込まれることで、一皮むける修羅場を経験し成長する。
その過程で、他者からのフィードバックが与えられ、仕事を「内省」する機会をつくることが重要だという結論が多いそうです。
これだけ見ると、極端な状況に追い込まれないと成長は促されないと解釈することもできます。


2)ハイパフォーマー(高業績者)はどんな経験をしているか

◇職務の広がり
他の事業所に異動して、業務の幅が広がった/部下をもつようになり、責任を感じた/営業目標が厳しくなった

◇高度な仕事の達成
すべて自分で考える状況で仕事をこなした/大きな仕事を任されこなせた/高い目標を達成し自信がついた

◇顧客紹介の増大
既成約者からの紹介が増えた/特定のお客様から信頼され、多くの紹介を得た

◇顧客との相互作用
お客様から叱られた/お客様から感謝された/お客様の難しい要求に応えることができた

◇先輩・上司との出会い
尊敬できる先輩・上司にめぐりあえた/尊敬できる上司に教育された

多くのハイパフォーマーに対する調査から、採用から10年程度の期間経験していることが共通項として挙げられているが、その具体的なプロセスは明らかではない


3)営業担当者はどのような方法で学んでいるか

熟達化を促す学習方法としては

◇観察学習(先輩や熟達者を模倣する)
◇他者の相互作用(同僚や上司、顧客とのやりとりから学ぶ)
◇経験の反復(日々の練習、フィードバックを受け、振り返る)
◇経験からの帰納と類推(上記、経験の反復からルールを抽出する)
◇メディアによる学習(書籍や研修を通して学ぶ)

あたり前といえばあたり前だが、先輩など他の営業担当者の姿勢や業務のすすめ方を観察したり、業務に関する日々のコミュニケーションから学び得たことを、自身で試してみるという経験が最も多い学習方法だといえます。

これら先行研究をレビューしていただき、改めてわれわれが問題意識として持っている中堅社員の成長プロセスをより具体的に調査する必要性を感じるに至りました。




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コラム筆者紹介

講師紹介

講師 近藤 崇司
所属 株式会社マーケティング研究協会
代表取締役社長
略歴 立教大学大学院経営学修士課程修了。
食品メーカーへ入社後、エリアセールスとして大手量販チェーンに対しての
店舗営業を経験後、本社にてナショナルチェーンに対する施策策定などの対量販営業強化業務に携わる。 その後、株式会社マーケティング研究協会入社、消費財メーカーを中心に、競合調査、消費者(来店客)・流通調査などの各種リサーチ、販売データ分析などのデータ分析、それらを用いた戦略構築などの業務を数多く実施。
多岐に渡る支援実績から、クライアントからの信頼は高い。

【主な業務支援内容】

 1)メーカーのチャネル戦略構築支援
    流通調査、販売データ分析などからの販売戦略立案

 2)メーカーのMD政策作成支援
    販売データ、来店客調査などからのカテゴリーMD政策立案

 3)メーカー・小売業などでの各種消費者調査
    定性調査:グループインタビュー、デプスインタビュー
    定量調査:来店客調査、CLT、インターネットなど

 4)メーカー・小売業での人材育成支援
    教育研修の企画・実施

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