2016年8月16日(火)UP 営業力強化(生産財・産業財)

代理店戦略=再考3【4:分類C 「専門商品単機能店」の戦略課題とメーカー政策】

代理店戦略=再考= 」「代理店戦略=再考2=」と合わせて、生産財・産業財メーカーの皆様にとって代理店戦略立案の一助となれば幸いです。

なお、本コラムでいう「代理店」とは、製品・サービスをエンドユーザー(法人)に販売するためのチャネル(販路)のひとつであり、一般的には販売代理店、ディーラー、特約店、販売店などの名称で呼ばれている企業を指します。


CONTENTS
 第1回 『なぜ代理店を特性ごとに分類することが必要なのか?
 第2回 『分類A 「専門商品複合機能店」の戦略課題とメーカー政策
 第3回 『分類B 「総合商品複合機能店」の戦略課題とメーカー政策
 第4回 『分類C 「専門商品単機能店」の戦略課題とメーカー政策
 第5回 『分類D 「サービス型代理店」の戦略課題とメーカー政策
 第6回 『分類E 「課題獲得型代理店」の戦略課題とメーカー政策
 第7回 『その他 「広域型代理店」と「地域密着型代理店」の併存

前回のコラムでは、代理店の特性分類B「総合商品複合機能店」について、代理店の戦略課題とそれに対応したメーカー政策をご紹介しました。今回は特性C「専門商品単機能店」について、同じく代理店の戦略課題とそれに対応したメーカー政策を見ていきます。

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1.「専門商品単機能店」に該当する主な業種と取り扱い製品、代理店の保有機能

この分類の主な業種として、各種のデリバリー業(配送業)が挙げられます。代表的な取り扱い製品として、ガソリンやガスなどの各種燃料、工業用薬液、生コン、牛乳、新聞などになります。

そして、これらの業種の代理店が持つ機能としてはかなり限定的であり、販売機能、備蓄機能、二次物流機能などです。保有機能の割には設備インフラが必要であることがこの分類の特徴といってよいでしょう。


2.「専門商品単機能店」の特性と戦略課題

この分類の代理店が持つ特性として、特殊な備蓄設備や配送車両を保有することが挙げられます。よって、取扱主任者の設置や監督官庁の定期検査など法的制約がある例が多く見受けられます。
また、比較的エリアが限定されるという点も特徴的です。これは、顧客から時間厳守(Just On Time)の小口配送を要求されることが多く、よほどの資本力がなければ設備や車両を保有することが難しいため、どうしてもエリアが限定されるということです。
そして、専門分野に対する経験と知識を持ち、顧客データや取引履歴管理がこのビジネスの成功のキーファクターになっています。

ですので、この分類の代理店の戦略課題は以下の5点になると考えられます。

1)24時間対応やトラブルレスのデリバリー・接客などいかにしてサービス品質を高めることができるか
2)顧客の評価をいかにして収集し高めるための改善活動を継続できるか
3)限定された商圏の中でいかにして顧客密度を高めることができるか
4)バリューチェーンにおける価値連鎖の中でいかにして自社の存在意義を高めるか
5)いかにして関連法令を順守し続けることができるか(仕組みと人材教育)


3.「専門商品単機能店」をチャネルに持つメーカーの政策課題

最大のポイントは、販売・備蓄・配送などに関する設備や、顧客台帳などのメーカー間における争奪戦対策です。これらの設備や顧客台帳はこの分類の代理店が持つ最大の資産であり、いかにして自社がこの資産を共有するか(情報入手するか)が大きなポイントになります。そのための対策としてリベートなどの取引条件で優遇するなどのことが考えられますが、顧客情報を登録・共有できるデータベースシステムを構築し、代理店に使ってもらうといったことも考えられます。有償・無償どちらでも良いと思いますが、こうすることによって代理店の持つ資産を共有する事が可能となります。また、メーカーとしてのCRM構築にもなり、顧客満足度調査などその他の目的にも使用することが可能となります。

そして、関連法規・取扱講習の徹底や人材の定着指導、先端接客教育なども重要な課題となります。昨今では人材の採用と定着が大きな経営課題になっている代理店も多く、この点をメーカーとしても支援することが望まれています。

その他には、新規顧客開拓支援、メーカーと代理店の棲み分け(役割分担、直販経路との調整など)、広域代理店との調整、既得権の甘え対策などが挙げられます。

次回は、情報システムや通信システム、放送システム、医療診断システムなどの業界に多い。『分類D 「サービス型代理店」の戦略課題とメーカー政策』について考えていきます。

■■Shimizu's EYE!■■ 変化する顧客やニーズを上手く取り込めていますか?

2016.8.12の日経新聞電子版に格安スマートフォン事業者がリアル店舗数を増やすという記事が掲載されていました。顧客の開拓を目的として、様々な相談に対応できるリアル店舗網を整えるとあります。

従来格安スマートフォン事業者はネットでの集客・販売を主としてきましたが、リアル店舗網を広げる理由として2つ挙げられています。
ひとつは消費者からの要請です。端末(スマートフォン)を実際に触れてみたいという声が上がっており、この声に対応するということです。
もうひとつは総務省から「実質0円販売」を是正するガイドラインが出たことです。このガイドラインがでたことで大手通信各社の月額料金が上がり格安スマートフォンに対する注目が高まっているため、営業コストが増えたとしてもリアル店舗での顧客接点を増やし、顧客開拓を優先するということです。

「1)消費者からの要請(=PEST分析の「S(Social)」の変化)」に対応するということは、買い手の購買行動に着目し的確に対応した顧客接点(=チャネル)を新たに設けるということになります。もっとも、このケースでは購買行動が変わったというよりも、顧客層が変わったことにより違う購買行動が発生したと捉えるほうが適切です。

「2)総務省のガイドライン(=PEST分析の「P(Politics)」の変化)」に対応するということは、業界の商習慣やルール、秩序が変わり競合との相対的なポジショニングが変化することに着目して、顧客接点(=チャネル)を新たに設けるということになります。

このように顧客層(購買行動)や法規制・条例が変化することは、新たな顧客接点を設けるチャンスとなりうることが読み取れます。従来の顧客接点(=チャネル)とのコンフリクトの原因となるやみくもな拡大は避けなければなりませんが、顧客層(ニーズ)の棲み分けができるのであれば、違った形でのチャネル拡大は商機を取り込む大きな手段となりうると考えられます。

貴社お取り引きの代理店は変化するニーズに対応できる機能を持っていますか?
新たな顧客を取り込むために既存の代理店で十分ですか?

■■編集 はみ出しコラム■■

例えば初めて見つけた洋服屋へ立ち寄った際、店員から受ける接客についてどのようなイメージがあるでしょうか。「着こなし方を教えてもらえる」と喜ばれる方よりも、「売りつけられる」「ゆっくり見られない」と感じる方が多いのではないでしょうか。
一方で、馴染みの床屋や美容室で散髪をしてもらう際、"任せておけばなんとでもなる"と思いながら委ねている方も多いのではないかと思います。この感覚の違いは「相手は自分を理解している」そして、「自分も相手を理解できている」という状態(=信頼関係の構築)がひとつ大きな要素であるように思います。
ICTや顧客接点の複雑化など、人間が介在する価値が問われるようになるこれからの時代、インターネット普及前の諸先輩方の対面での活動などが参考になるという矛盾が起きているように感じます。(ひ)



■お知らせ■

●本コラム(代理店再考 シリーズ1−2)を冊子にまとめたものを進呈しております。

●代理店制度構築コンサルティングや、代理店・特約店様への営業支援等のサービスもご提供しております。

こちらから「代理店支援」と書いて、お気軽にお問い合わせください

コラム筆者紹介

講師紹介

講師名 清水 徹
所属 株式会社マーケティング研究協会
コンサルタント
略歴  大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職(セールスエンジニア)として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「営業担当者のスキルアップ教育」などの実績がある。
◆最近の支援実績
○研修
・オフィス関連機器メーカー 代理店営業部 新人研修
・OA機器販売会社 代理店営業研修
・医療材料メーカー 特約店との関係構築研修(拠点指導)

○コンサルティング他
・オフィス関連機器メーカー 代理店機能分析・戦略再構築
・OA機器販売会社 代理店分析ツール開発
・医薬系食品メーカー 取引制度適正診断
コラム 代理店 =再考2= 連載
代理店 =再考= 連載
担当セミナー 販売代理店に対する「4つの活動」再点検 (2016年7月開催)
■販売目標を達成させる代理店・特約店との取組強化法
■代理店・特約店の稼動化・活性化法
お問合せ ■代理店政策等清水徹へのお問合せはこちらからどうぞ

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