2016年8月02日(火)UP 営業力強化(生産財・産業財)

代理店戦略=再考3【3:分類B 「総合商品複合機能店」の戦略課題とメーカー政策】

代理店戦略=再考= 」「代理店戦略=再考2=」と合わせて、生産財・産業財メーカーの皆様にとって代理店戦略立案の一助となれば幸いです。

なお、本コラムでいう「代理店」とは、製品・サービスをエンドユーザー(法人)に販売するためのチャネル(販路)のひとつであり、一般的には販売代理店、ディーラー、特約店、販売店などの名称で呼ばれている企業を指します。


CONTENTS
 第1回 『なぜ代理店を特性ごとに分類することが必要なのか?
 第2回 『分類A 「専門商品複合機能店」の戦略課題とメーカー政策
 第3回 『分類B 「総合商品複合機能店」の戦略課題とメーカー政策
 第4回 『分類C 「専門商品単機能店」の戦略課題とメーカー政策
 第5回 『分類D 「サービス型代理店」の戦略課題とメーカー政策
 第6回 『分類E 「課題獲得型代理店」の戦略課題とメーカー政策
 第7回 『その他 「広域型代理店」と「地域密着型代理店」の併存

前回のコラムでは、代理店の特性分類A「専門商品複合機能店」について、代理店の戦略課題とそれに対応したメーカー政策をご紹介しました。今回は特性分類B「総合商品複合機能店」について、同じく代理店の戦略課題とそれに対応したメーカー政策を見ていきます。

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1.「総合商品複合機能店」に該当する主な業種と取り扱い製品、代理店の保有機能

この分類の主な業種として、理美容機器用品、建材住宅設備機器などが挙げられます。ですので取扱い製品としては、設備機器や器具、什器、業務資材、消耗品、業務ソフトなどのように広く顧客の業務に必要なモノの分野となっています。

そして、これらの業種の代理店が持つ機能としては、営業機能、技術・積算機能、在庫機能、配送機能、展示機能、工事・監理機能、保守・メンテナンス機能、金融機能、各種申請代行機能など多岐にわたるのもこの分類の代理店に見られる特徴といってよいでしょう。


2.「総合商品複合機能店」の特性と戦略課題

この分類の代理店が持つ特性として、顧客や用途に合わせて複数の有形無形の価値物をまとめて供給できる「ワンストップ継続サポート型サービス業」ということが言えます。このような「サービス業化」した代理店が多くの業界で増加傾向にあります。

ですので、この分類の代理店の戦略課題は以下の5点になると考えられます。

1)機能レベルのバランスをいかにして高く保持できるか
2)必要となる資格の取得者をいかにして確保できるか
3)専門知識と総合提案力をいかにして高めるか
4)商品探索の「規模と範囲の優位性」をいかにして担保できるか
5)工程管理の緻密さ、正確さ、実行力をいかにして高めるか


3.「総合商品複合機能店」をチャネルに持つメーカーの政策課題

前述のような戦略課題をチャネルに持つメーカーの政策課題を挙げる前にぜひご理解いただきたい前提があります。それは、「代理店は1メーカーだけの意向に沿えるとは限らない」ということです。代理店側は、顧客の要望に従い案件ごとに採用メーカー・製品の構成比を変える「購買代理業」的位置づけだからです。

そういった前提のもとメーカーの政策課題としては、案件の予算総額検討の段階で自社製品分野への予算配分の優先順位をいかにして高めるかということが挙げられます。そのためには、提案システムやツールを充実させ製品教育などの機会を通じて代理店の営業活動で活用してもらったり、案件プランニング段階での設計折り込み支援(スペックイン)が必要となってきます。

また、メーカーとして顧客へのダイレクトアプローチ(プロモーション活動など)を通じて自社の知名度を高め、顧客からの指名率をアップさせることも重要です。


次回は、ガソリン、ガス、工業用薬液、生コン、携帯電話、複写機、牛乳、新聞などの業界に多い『分類C 「専門商品単機能店」の戦略課題とメーカー政策』について考えていきます。

■■Shimizu's EYE!■■ 顧客接点を強化するために必要なノウハウを作っていますか?

2016.7.29の日経新聞電子版にバイオマス発電が内需型製造業の収益確保の手段として注目されている記事が掲載されていました。
セメントや紙、産業ガスなどの業界では、国内市場の縮小への対応が経営課題になっており、その収益確保の手段のひとつとして各社がバイオマス発電に取り組んでいるようです。

特にセメント業界ではここ2年連続で国内市場が縮小しており、2020年の東京オリンピックに向けた特需が期待されるとはいえその後の反動による減少が見込まれています。海外売上高比率も1/4程度であり、国内市場の縮小は経営に対するインパクトも大きいようです。
そこで、セメントの生産に使っている自家発電設備の運用ノウハウを応用し、バイオマス発電事業に参入するとのこと。このことは電力の固定価格買取制度によって長期安定的な収益が見込め、セメント事業の収益減少を補うと期待されています。

この記事にあるように、新事業の立ち上げなどの時に保有資産の有効活用を考える企業は多いと思いますが、土地や建物、設備などの有形資産だけではなく、特許やノウハウ、人などの無形資産の活用も時に有効となります。ただし、この無形資産は"無形"であるがためその新たな領域における活用の有効性評価が難しく、活用の仕方によって収益性が大きく異なるといった特性があります。その代表的な例が人的資産ではないでしょうか。

現事業であっても新事業であっても、自社人材の能力を最大限に活かす難しさは皆さんもお分かりだと思います。販売チャネルである代理店の人材であれば、社外であるがためその難しさは更に高まります。また、代理店が持つ機能(販売機能、情報機能、金融機能、など)も無形資産といえるものであり、その評価・活用は代理店チャネルを有している企業にとって顧客接点力・販売力を左右する大きな要素となります。

無形資産を正しく評価し強化・活用していくことは、その難しさゆえなかなか手がつけられていない場合があります。だからこそそこに着目し他社に先駆けて着手することで、成長という果実が得られると考えます。

貴社お取り引きの代理店の無形資産(保有機能や人材など)を正しく評価・活用できていますか?





■■編集 はみ出しコラム■■

一時、「ゼネラリストよりスペシャリスト」と、専門性を磨くことが強みになると言われた時期がありました。近頃はあまり聞かなくなったように思います。これはあくまでも個人を主体としていますが、企業においてはどうでしょうか。

少なくとも企業=プロである以上は、その領域においての専門性を持っているはずです。しかしながら、取引先や市場に求められる期待や役割は、良い製品(専門性)を作ることだけを求められていた時代から製品を使った改善提案(専門性+α)を求められる時代に変わっているように、時代と共に変わってしまう可能性があります。コト売りや価値創造など言葉は違えど、この変化は業界問わず、直面しているのではないでしょうか。  (ひ)






■お知らせ■

●本コラム(代理店再考 シリーズ1−2)を冊子にまとめたものを進呈しております。

●代理店制度構築コンサルティングや、代理店・特約店様への営業支援等のサービスもご提供しております。

こちらから「代理店支援」と書いて、お気軽にお問い合わせください

コラム筆者紹介

講師紹介

講師名 清水 徹
所属 株式会社マーケティング研究協会
コンサルタント
略歴  大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職(セールスエンジニア)として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「営業担当者のスキルアップ教育」などの実績がある。
◆最近の支援実績
○研修
・オフィス関連機器メーカー 代理店営業部 新人研修
・OA機器販売会社 代理店営業研修
・医療材料メーカー 特約店との関係構築研修(拠点指導)

○コンサルティング他
・オフィス関連機器メーカー 代理店機能分析・戦略再構築
・OA機器販売会社 代理店分析ツール開発
・医薬系食品メーカー 取引制度適正診断
コラム 代理店 =再考2= 連載
代理店 =再考= 連載
担当セミナー 販売代理店に対する「4つの活動」再点検 (2016年7月開催)
■販売目標を達成させる代理店・特約店との取組強化法
■代理店・特約店の稼動化・活性化法
お問合せ ■代理店政策等清水徹へのお問合せはこちらからどうぞ

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