2016年5月13日(金)UP 営業力強化(生産財・産業財)

生産財・産業財メーカーの営業生産性向上を考える
6:顧客の購買特性別にみるメーカー営業の生産性を高める対応策
〜その4 日常業務外商材〜

前回のコラムでは顧客の持つ情報量が少なく、製品の購買頻度の低い「組織変革材」という区分のメーカー営業の生産性を高める対応策を考えました。
今回はその4として、顧客の持つ情報量が多く、製品の購買頻度が低い「日常業務外商材」を取り上げてみたいと思います。

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1.メーカーと代理店の役割

前回のコラムではで組織変革商材における顧客の購買プロセスと、「購買部門」と「使用部門」、それぞれの購買関与者が各プロセスにどのように関わるかをご紹介しました。今回も引き続き顧客の購買プロセスを軸として、生産性を高める正しい営業プロセスを見ていきます。

<顧客の購買プロセス:例>
 Step1 購買・導入の社内検討
 Step2 情報収集・サプライヤー候補の選定
 Step3 サプライヤー/製品の評価・選定
 Step4 購買・設置・導入・使用


自社(メーカー)が直販として営業を行う場面と、代理店と協業して営業活動を行う場面に大別されます。後者では自社がいかに正しい営業プロセスを踏もうとしても、代理店と足並みが揃わなければ、効果を十分に発揮できるとは言えません。
ここで一般的なメーカーと代理店が担うべき役割をご紹介します。業界や商材によっては、当てはまらない点もありますが、基本的な考え方は共通するものとなります。

代 理 店:顧客の購買部門・使用部門と日々接し、現在の不満や不足点などの情報を収集しながら適切な情報を提供する。

メーカー:代理店とのコミュニケーションを通して、顧客の不満足を解消するための情報を提供するサポートをする。また、選定基準(Step3)を踏まえ、導入後フォローを含めた提案を組み立てる。

次の項では、この役割を念頭に、日常業務外商材の購買プロセスにおける「購買部門」と「使用部門」がどのように関わってくるかを見ていきます。

2.「その4日常業務外商材」 購買プロセスごとの購買関与者の行動・役割

ここでいう「日常業務外商材」とは、顧客の持つ情報量は多く、製品選定が顧客内で完結できる場合が大半を占めます。例えば採用や異動などのタイミングにおいてスポットで導入されるケースが多いため、頻度やタイミングが外部から予測しにくいことが特徴です。具体的には保険や語学などの無形サービスや異業種交流のように社内で完結できない勉強会、防犯用品などの業務遂行以外(実作業において"ないと仕事にならない"というもの以外)から発生するニーズを改善する商材のことをいいます。

■Step1 購買・導入の社内検討
「購買部門」
現場が必要に応じて要請するため、購買部門は検討段階で関与することがほとんどありません。
「使用部門」
商材の使用部門が主体となって検討を進め、部門長やその案件の責任者に上申をおこないます。領域というよりも、企業(部門)方針や人材育成などの視点により検討を行います。

■Step2 情報収集・サプライヤー候補選定
「購買部門」
使用部門から上申された求める要件や効果の定義にもとづき、検討対象サプライヤーリストの作成をおこないます。あわせて提案要請先サプライヤーの選定と提案要請をおこないます。
「使用部門」
使用部門は購買部門と連携し、検討対象サプライヤーリストの作成と提案要請先サプライヤーの選定をおこないます。
口コミ・評判、過去の実績などをもとに選定をおこないます。購買頻度がまばらかつ、低頻度であるため、使用 部門に随意で任される場合と、購買部門が斡旋する場合に分かれます。

■Step3 サプライヤー/製品の評価・選定
「購買部門」
使用部門の判断に基づき、最終的に意思決定者が承認、決済をおこないます。
「使用部門」
サプライヤーからの提案と要件や効果を照らし合わせて検討をおこないます。使用部門の主要使用者の意見なども選定・判断に活かしながら、使用部門の責任者が購買部門へ承認を求めます。

■Step4 購買・設置・導入・使用
「購買部門」
意思決定にもとづき手続きをおこないます。
「使用部門」
導入決定から使用前、使用後など、サプライヤーと連携して進めます。使用が一度きり・中長期的に渡るなど、製品の使用状況に応じて各種のサポート要請をおこないます。

3.生産性を高める売り手側の対応策

案件の発生が不定期であるのがこの商材の特徴です。また、案件あたりの単価は商材によりますが、他タイプより安価であることが多数です。ただ、要望に合わせた対応が求められる場合も多く、他のタイプの商材と比べ、業務への関連性が低いゆえに検討開始が遅く、要求納期が短くなる傾向にあります。関与者(部門)が求める要件とその効果は厳密ではない場合も多く、この商材の営業活動でのポイントは、素早い対応と案件の見込み度管理にあります。
新規顧客開拓の場合は、顧客からいかに引き合いをとるかで全てが決まると言っても過言ではありません。突発的である、必要納期直前になるまで動かない等、検討から導入までの時間が短いため、既存取引先以外に目が向きにくく、新規開拓のハードルは高いと言えるでしょう。そのため、定期的にアプローチをかけ、自社の認知と評価を高め、中長期的な視点で関係性を構築していくことが必要です。使用部門長や使用部門内でのキーマンに対し検討・選定をしやすくする情報提供や支援が欠かせません。
既存顧客においては、コスト削減の意識が高まり、業務・業務外問わず必要以上の経費をかけられない顧客企業が増えてきています。以前は独自予算などで対応できていた顧客企業・使用部門でも、コンプライアンスや購買部門の管理強化などでコスト削減の傾向にシフトしています。そのため、今までの営業活動を変える必要も生じています。業務に影響を与えにくい自社商材や提案は、顧客企業のどの要素にどのようなベネフィットがあるのか、価格などの単なる購買条件のみに寄らない継続利用を促すためのコミュニケーションが求められます。

ですので、代販の場合は代理店と連携を密にして先行情報の取得に全力を注ぎ、早い段階で自社商材が顧客のニーズに合致し、改善することを認識してもらえるように働きかけることが生産性を高めるための第一歩となります。
メーカーと代理店それぞれに対する顧客からの期待が異なることを認識し、営業生産性を高める為に協働し応えていくことが重要です。しばしば、代理店が顧客の情報をメーカーに伝えず、その結果提案がちぐはぐになり失注してしまう例は少なくありません。一方で、メーカーが半ば直販のように顧客対応をすべて行い、代理店は口座のみ管理するような営業活動を行うがために受け身となり、先行情報の取得を逃す場合もよく見られます。代理店との役割の違いを踏まえ、お互いが顧客に対しどのような活動を行うかをきちんと整理し、ムダのない営業活動を行うことが生産性向上へつながります。

「日常業務外商材」は顧客企業にとって必要であってもその認識が弱く、購買が非計画的になり、製品選定や検討が短期で決着してしまう傾向があります。まずは顧客の動向や先行情報を取得し、タイミングを逃さないことが営業生産性を高めるカギとなります。

これまでは商材を4つに大別し、それぞれの特徴に応じて「正しいことを行う(営業の効果向上)」ための営業プロセスの進め方についてご紹介してきました。
次回からは「正しく行う(営業の効率向上)」ための営業スキルの視点から、営業生産性を向上させるアプローチについて考えていきたいと思います。

コラム筆者紹介

清水徹、佐藤光
マーケティング研究協会 人材育成支援部

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