2016年4月05日(火)UP 営業力強化(生産財・産業財)

代理店戦略=再考2【9メーカー営業担当者の育成の仕方】

1.「学習→検討→議論→計画→実践→振り返り」のサイクル

営業担当者の育成は、集合研修などのOff-JTではなく、あくまでも現場での活動・実践を軸としておこなうことが基本となります。そうでなければ机上の空論となってしまい、せっかく学んだ知識やスキルを試す機会がなく、Off-JTへの投資の効果がまるで現れません。
そのためには現場での営業活動と集合研修などのOff-JT、更には営業マネジャーによるOJTを有機的に結合させ、実活動のレベルアップ、ひいては業績の向上を目指すことが重要となります。ですので、本項のタイトルにあるように「学習→検討→議論→計画→実践→振り返り」のサイクルを回すことができる育成の仕組み・構成を作ることが望ましいと考えます。

では、どのような内容でこのサイクルを構成すればいいのでしょうか。

私は、営業活動の原点は「理解する」ことと考えており、この「理解する」というキーワードを中心にして構成することを企業様にご提案しています。「理解する」べきことは大別して次の4つの点です。

1)市場・顧客
    ・購買者(顧客)が属している業界動向・トレンド、市場規模、将来予測、など
    ・購買者(顧客)の方針、戦略、計画、業務プロセス、意思決定構造、など
    ・購買者(顧客)の顧客

2)競合メーカー
    ・製品群、主要製品、特徴・特性、主要ターゲット(顧客)、など
    ・営業/サービスの戦略、体制、人員、強みと弱み、施策の特徴、など
    ・収益源、収益構造、など

3)代理店
    ・経営者や営業責任者など幹部のパーソナルデータ、自社および競合メーカーに対する評価、      過去の取引実績、など
    ・意思決定構造、メーカー/機種選定要因、メーカーへの期待、など
    ・営業/サービスの戦略、体制、人員、強みと弱み、カバーエリア、など
    ・自社製品群の代理店内ポジション、収益源・収益構造、など

4)自社
・方針、戦略、計画、業務プロセス・部門間連携、など
・製品群、主要製品、技術要素、強みと弱み、製品とサービスの組み合わせ、など
・営業/サービスの体制、人員、強みと弱み、施策の特徴と実績、など

これら4つの点の徹底した理解と、理解にもとづく洞察、仮説設定と検証、提案、引き合い対応、クロージング、契約後フォローといった一連の営業プロセスを「学習→検討→議論→計画→実践→振り返り」のサイクルに乗せて展開することが考えています。

2.集合研修など受講者の参加意欲を高め行動を促すための仕掛け

前項でご紹介したものは知識やテクニックにあたる内容ですが、多くの企業様で課題となっているのは、こういった知識やテクニックを現場で実践し成果を出すという営業担当者の意識や意欲、行動ではないでしょうか。
集合研修などのOff-JTを単なる勉強会で終わらすこと無く成果(実績)に結びつけるためには、営業担当者の意識や意欲を高め、行動を促すための仕掛けが必須となります。そのための代表的な3つのポイントをご紹介します。

1)経営幹部が積極的に関与する

集合研修への経営幹部の積極的な関与が第一に挙げられます。自社の経営環境、経営課題、集合研修の目的と必要性、受講者に対する期待などを“直接”“継続的”に受講者へ伝えることが大切です。受講者はそのメッセージを受けることによって、経営幹部の本気度と集合研修の重要性を理解し、成果を挙げなければといういい意味でのプレッシャーを感じることができます。

2)実践課題を題材とする

前項でご紹介したサイクルの「計画→実践」を日常活動に埋め込むことが2番目のポイントとなります。
受講者自身が担当する代理店を題材に取り上げることにより、営業活動と集合研修の境目(活動は活動、研修は研修といった区別)を無くすことが可能となります。ここで大切になってくるのが集合研修の人選です。私がお薦めしているのは、“○年目”といった年次で人選するのではなく、会社として戦略的に強化したい代理店を担当している営業担当者を選抜する方式です。

・「大手代理店との取組をさらに深めたい」
・「地域一番店を更に強化したい」
・「他社系代理店での自社シェアを高めたい」
などといったように、自社の事業課題に合った代理店を選ぶことによって集合研修の目的と事業課題の解決をリンクさせることができ、成果の検証も可能となります。

3)本社や営業マネジャーが継続的に支援する

営業活動と集合研修の境目を無くすためには、受講者の活動を本社や営業マネジャーが継続的にモニタリングして、適切な助言や支援をおこなうことです。

以上の3つのポイントが揃って初めて「学習→検討→議論→計画→実践→振り返り」のサイクルを完成させることが可能となります。

3.先端市場・顧客から逆算したマインドセット

多くの企業様とディスカッションをしていると、市場や顧客を主語とした話が意外と少ないことがあります。大半は“自社”“競合メーカー”もしくは“代理店”が主語となっています。このようなディスカッションは、得てして「顧客不在」の議論になり、ディスカッションの目的を見失ってしまいます。また、施策が成果に結びつかない事になってしまいます。同じことが営業現場でも起きているのではないでしょうか。
そこで、必要となってくるのが先端市場や顧客から逆算したマインドセットです。集合研修のみならず、営業現場でも常にこのマインドを持つために“市場や顧客”を主語とした議論をお薦めします。その際のポイントをいくつかご紹介します。

1)製品やサービスを起点とした議論を市場や顧客を起点とした議論に切り替える
2)提供者(メーカー)や代理店の立場を離れ、一般の購買者(顧客)として発想する
3)「良い物は売れる」という考え方の“良い物”の基準を顧客に置く
4)顧客が認識できる価値とは何かを考える
5)顧客との良い関係づくりのために必要なことは何かと発想する

以上が本稿の『メーカー営業担当者の育成の仕方』となりますが、同じことは営業マネジャーの育成にも大いに当てはまる内容と考えています。プレイングマネジャーであれば自らの営業活動にそのまま当てはまりますし、マネジャーであれば部下の指導・育成も業務の一つとなります。

最後になりましたが、私が今まで支援させていただいた事例(育成ワークショップ)の事例プログラムをご紹介します。代理店との協働計画を作り上げるワークショップです。

■こちらをご覧ください■
全9回にわたり、『代理店戦略=再考�U「代理店チャネルの営業力・販売力を高める」』と題して、メーカーの代理店チャネルの強化について必要な要素・考え方をご紹介してきました。皆様のお役に立てていただけましたら幸いです。

ぜひ皆様の企業内で積極的に根気強く取り組まれ、成功されることを祈願して最終講とさせていただきます。長きに渡りご精読ありがとうございました。

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