2016年4月11日(月)UP 営業力強化(生産財・産業財)

生産財・産業財メーカーの営業生産性向上を考える
4:顧客の購買特性別にみるメーカー営業の生産性を高める対応策
〜その2 買替難商材〜

前回のコラムでは顧客の持つ情報量が多く、製品の購買頻度が高い「代替可能商材」という区分のメーカー営業の生産性を高める対応策を考えました。
今回はその2として、顧客の持つ情報量が少なく、製品の購買頻度は高い「買替難商材」を取り上げてみたいと思います。

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1.メーカーと代理店の役割

前回のコラムではで代替可能商材における顧客の購買プロセスと、「購買部門」と「使用部門」、それぞれの購買関与者が各プロセスにどのように関わるかをご紹介しました。顧客の購買プロセスに合わせた、正しい営業プロセスを踏むことが営業生産性を高める重要なポイントとなります。

Step1 購買・導入の社内検討
Step2 情報収集・サプライヤー候補の選定
Step3 サプライヤー/製品の評価・選定
Step4 購買・設置・導入・使用

自社(メーカー)が直販として営業を行う場面と、代理店と協業して営業活動を行う場面に大別されます。後者では自社がいかに正しい営業プロセスを踏もうとしても、代理店と足並みが揃わなければ、効果を十分に発揮できるとは言えません。
ここで一般的なメーカーと代理店が担うべき役割をご紹介します。業界や商材によっては、当てはまらない点もありますが、基本的な考え方は共通するものとなります。

代 理 店:顧客の購買部門・使用部門と日々接し、購買プロセスにおける、今後の社内検討期(Step1)や情報収集期(Step2)に適切な情報を提供する。
メーカー:顧客が社内検討をするように働きかけ、選定候補となるよう訴求し、選定基準(Step3)を踏まえ、導入後フォローを含めた提案する。

次の項では、この役割を念頭に、買替難商材の購買プロセスにおける「購買部門」と「使用部門」。がどのように関わってくるかを見ていきます。

2.「その2買替難商材」 購買プロセスごとの購買関与者の行動・役割

ここでいう「買替難商材」とは、顧客の持つ情報量が少なく、製品選定に関して顧客のみでは完結できない場合が大半を占めます。また、競合製品や単価は多様ですが、購買頻度が高いことが特徴です。具体的には設備装置保守部品や機械メンテナンス品などの汎用性の低い製品、受注生産・特注対応をしている生産用素材、個別にカスタマイズされた人材教育、などのことをいいます。

■Step1 購買・導入の社内検討
「購買部門」
発注頻度が高く使用回数も多いためオペレーショナルに購買をおこなう。
よってこのステップはほぼルーティン作業に近い。
「使用部門」
サプライヤーが限定されるため、定期的・継続的な作業となる。

■Step2 情報収集・サプライヤー候補選定
「購買部門」
使用部門からの要求条件を満たすものを調査。変更コストやリスクが大きく、多少のメリットでは変更ができないため、ルーティン作業に近い。
「使用部門」
変更した場合にどのようなメリットがあるか、リスクはどの程度あるかなど、現状を"わざわざ"変更するメリットがあるのかを慎重に検討。

■Step3 サプライヤー/製品の評価・選定
「購買部門」
価格等の変更メリットを検討、使用部門側の仕様要求との調整をおこなう。
「使用部門」
商材変更の場合、新製品の評価を行い、現状を維持し続けるデメリットや変更のリスクを慎重に検討、判断する。

■Step4 購買・設置・導入・使用
「購買部門」
製品切り替えや仕様変更がなければオペレーショナルな発注へ。
「使用部門」
導入において、継続的に使用することと、変更前に戻すことを中長期的に使用する中で判断する。

3.生産性を高める売り手側の対応策

一度顧客に採用されると、顧客側での方針や環境に変更がない限り切り替えられることが少ないことがこの商材の特徴です。ですので、既存顧客(自社製品を採用している顧客)に対しては、使用部門の製品使用に関わる状況や、今後の方針や計画を絶えず把握していることが重要となります。そのため、商材を導入することを計画する上流工程の意向を汲めるかが、受注のカギと言えるでしょう。
新規顧客開拓の場合は、顧客が変える必要を感じていない他社製品を切り替えたいと思うに足る提案をする必要があります。提案のポイントは「中長期的な顧客ベネフィット」を訴求できるかとなります。製品的パフォーマンスの違いが顧客にとって見えにくいこの商材は、変更することでどのような変化が生じるか顧客側では判断が付きにくく、導入することで生じる利益や不利益などをきちんと提示した上で、顧客全体への価値があるのかを理解してもらうことが求められます。

ですので、直販/代販問わず、この分類の商材を扱っている企業は導入するだけではなく、中長期的に顧客の方針や環境の変化を把握することが必要です。そのため、自社製品に関わる計画を立てる上流工程と実際に製品を利用する使用部門の2つの視点を持つ、顧客のパートナーとなることを目指しましょう。

代販の場合、メーカーは上流工程、代理店は実際の使用部門というように担当を分け、お互いの情報を共有することで、顧客への提案の効果を高める体制や仕組みが必要です。

「買替難商材」は製品的パフォーマンスが見えにくく、顧客が判断する基準を考えることからサプライヤーとして補佐し、顧客と中長期的なビジョンを作る取組みがカギとなります。

最近では、インターネットを利用した「製品情報」や「競合比較」など、顧客の持つ情報量が増えてきています。しかし、文字のみでは判断ができないのが、この買替難商材です。メーカーとして、いかにリアルにおいての価値を訴求できるかが、勝敗を分ける大きな要素となるのではないでしょうか。

次回は分類その3「組織変革(顧客の持つ情報量が少なく、製品の購買頻度が低い)」商材を取り上げてみたいと思います。

コラム筆者紹介

清水徹、佐藤光
マーケティング研究協会 人材育成支援部

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