2016年3月15日(火)UP 営業力強化(生産財・産業財)

生産財・産業財メーカーの営業生産性向上を考える
3:顧客の購買特性別にみるメーカー営業の生産性を高める対応策
〜その1 代替可能商材〜

前回のコラムでは顧客の購買特性を、「顧客が持つ情報の量」と「製品の購買頻度」の2つの軸から4つのタイプに分類しました。
今回はメーカー営業の生産性を高める対応策を考えて見たいと思います。まず顧客分類のその1として、顧客の持つ情報量が多く、製品の購買頻度が高い「代替可能商材」を取り上げてみたいと思います。

1.一般的なBtoB顧客の購買プロセス

第1回のコラムで営業生産性を高めるポイントのひとつとして、「正しい営業プロセスを踏むこと」を挙げました。
正しい営業プロセスとは、自社(メーカー)が売りやすい営業プロセスではなく、顧客が買いやすいプロセス(=顧客の購買プロセス)にあわせた営業プロセスのことを言います。ですので、顧客の購買プロセスを知ることは非常に大切ですし、営業活動の第一歩と行っても過言ではありません。
ここで一般的な顧客の購買プロセスをご紹介します。業界によって、商材によって細かくは異なる点がありますが、大まかには共通するものとなります。

 Step1 購買・導入の社内検討
 Step2 情報収集・サプライヤー候補の選定
 Step3 サプライヤー/製品の評価・選定
 Step4 購買・設置・導入・使用

次の項では、この購買プロセスに購買関与者がどのように関わってくるのかを見ていきます。ここでは、購買関与者を「購買部門」と「使用部門」の2つに大別します。

2.「その1代替可能商材」 購買プロセスごとの購買関与者の行動・役割

ここでいう「代替可能商材」とは、顧客の持つ情報量が多く、製品選定に関して顧客のみで完結できる場合が大半を占めます。また、購買頻度が高く、競合製品が多く単価は比較的安価であることも特徴です。具体的には工具や塗料などの汎用生産用品、文具などの事務・総務用品、ウォーターサーバーなどのオフィスサービス用品、などのことをいいます。

■Step1 購買・導入の社内検討
「購買部門」
発注頻度が高く情報量も多いためオペレーショナルに購買をおこなう。
よってこのステップはほぼルーティン作業に近い。

「使用部門」
要求を満たしていれば特に細かな検討はおこなわず定期的・継続的な作業となる。

■Step2 情報収集・サプライヤー候補選定
「購買部門」
使用部門からの要望に基づき要求条件を満たすものを調査。
同一商材の継続的購買であれば、このステップもルーティン作業に近い。

「使用部門」
現在使用している商材に特別な問題や細かい仕様変更がなければほぼルーティン作業。

■Step3 サプライヤー/製品の評価・選定
「購買部門」
価格等の変更メリットを検討、使用部門側の仕様要求との調整を行う。

「使用部門」
商材変更の場合、新製品の評価をおこなうと同時に切り替えることによるメリット/デメリットを検討、判断する。

■Step4 購買・設置・導入・使用
「購買部門」
製品切り替えや仕様変更がなければオペレーショナルな発注へ。

「使用部門」
継続的に使用することによる比較・最終的評価・判断をおこなう。

3.生産性を高める売り手側の対応策

一度顧客に採用されると、特に問題がないうちは切り替えられることが少ないのがこの商材の特徴です。ですので、既存顧客(自社製品を採用している顧客)に対しては、常に使用部門とコミュニケーションを取りながら、製品使用に関わる状況を把握していくことが重要となります。また、顧客の購買に関わる2つのコスト(経済的コストとプロセスコスト)のうち、プロセスコストを低減させるような工夫と提案をすることが継続受注のカギとなります。
新規顧客開拓の場合は、顧客が既に使い慣れている他社製品を切り替える提案をおこなうことになります。提案のポイントは「顧客ベネフィット」をいかにして訴求できるかになります。製品的パフォーマンスにほぼ差が無いこの商材は、顧客の購買活動上のプロセスの手間をどれだけ軽減できるか、使用部門が製品を使う上での使い勝手をどれだけ向上させることができるかといった製品以外のプラスアルファの価値が求められます。

ですので、直販/代販問わず、この分類の商材を扱っている企業は顧客の購買プロセスを詳細に調べ常にその手間を軽減できる余地があるかを探り続ける事が重要です。また、同じく使用部門において製品の使い方やちょっとした意見を吸い上げ改善する事ができるかどうかを検討することも大切です。

代販の場合、メーカーは代理店にこの活動の習慣化を促し、常に情報が共有できる仕組みや体制を整えておく必要があります。

いずれにしても「代替可能商材」は製品的パフォーマンスにほぼ差が無く切り替えによる製品的価値に大差がないため、それ以外の価値を訴求するために必要となる情報をいかにして集められるかがカギとなります。

最近では、「代理購買」や「集中購買」といったマーケットプレイスの成長が目立っており、その中心となる商材がこの代替可能商材です。メーカーとしてはこのマーケットプレイスへの対応の巧拙が勝敗を分けることになりそうです。

次回は分類その2「買替難商材(顧客の持つ情報量が少なく、製品の購買頻度が高い)」商材を取り上げてみたいと思います。

コラム筆者紹介

清水徹、佐藤光
マーケティング研究協会 人材育成支援部

コラム一覧に戻る

コラムの更新や、マーケティングに関するサービス情報をお届けします

弊社マーケティング研究協会のメールマガジンサービスは、マーケティング研究協会(以下、当社といいます)が無料 で配信するものです。

メールマガジン登録はこちらから

Page Top