2016年1月12日(火)UP 営業力強化(生産財・産業財)

代理店戦略=再考2【4市場での競争力を高める拡販施策の作り方】

1.代理店の特性からみる戦略課題と施策の方向性

代理店の特性の見方として、まず「代理店の保有機能 × 取扱い製品群の種類」というものがあります。代理店の機能が単機能であるか多機能であるか、取り扱い製品群が少ない(専門的)か多い(総合的)かといったことです。これらをマトリクスとしてみると4つの象限(タイプ)に分かれます。

ここではそのうちの1つをサンプルとしてみていきます。
「多機能×専門的」のタイプは医科向けサービス、工業用化学品卸などに見られます。保有機能としては、営業、技術、試験、在庫、配送、情報提供、ユーザー教育など多く(幅が広く)、取り扱い製品群は医薬、試薬、検査薬、添加物、医療機器など比較的少ない(幅が狭い)特徴があります。
このタイプの代理店の戦略課題は、

●売上志向よりも専門性重視
●メーカー機能一部自力代行による迅速対応
●代理店が機能充実に努力した結果が利益に結びつくか
●能力のある人材の定着率がよいか、法令遵守、経営倫理を重視できるか

といった事が挙げられます。

このようなタイプの代理店をチャネルとして持つ提供者(メーカー)の施策としては、

●専門メーカー間のインストアシェアの拡大
●メーカー専任担当者の育成
●代理店の営業担当者に対する話題情報の早期提供(メーカー担当者と同時取得)
●代理店も巻き込んだSCM(Supply Chain Management)による迅速対応とコストの引下げ
●家庭教師型担当者支援によるマインドシェアの拡大

が有効となります。

このように、代理店の特性(タイプ)によって戦略課題があり、提供者(メーカー)の施策が方向づけられます。より成果を高めるためには、代理店のタイプに合わせた施策が必要となります。

2.拡販と機能強化を実現する施策立案の手順

施策の立案は大きく分けると4つの手順からなっています。

 1)現状を分析する
 2)課題を明確にする
 3)企画を考える
 4)実施計画を立てる

おわかりのように、こうしてみるとごく当たり前の手順ではありますが、私の知る限りこの手順がしっかりとできている提供者(メーカー)は少ないように思えます。
大半は、「昨年の継続、焼き直し」の施策となってしまっています。このような施策はマンネリになってしまうばかりか、昨年と状況が変わってしまっており十分な効果が期待できなくなっている危険もあります。

では、手順を1つずつ見ていきます。

まず「1)現状を分析する」では、現状の売上やシェア、代理店状況、営業活動、KSF(Key Success Factor)などを分析します。

次に「2)課題を明確にする」では、現状分析をもとに今後の事業発展の課題を抽出します。
この課題が施策の目的となります。前述の代理店のタイプに照らしあわせ、営業戦略上の問題点を絞り込んで課題を明確化することがポイントになります。

そして「3)企画を考える」では、4つのポイントを抑える必要があります。
 1)メインターゲット(購買者:顧客)に対して最大のメリットを提供できる策になっているか
 2)施策の関係者への動機づけと参画度をどこまで高められるか
 3)施策の関係者と購買者(顧客)の両方に対する非日常体験・感動の実現ができるか
 4)効果があれば単純に経費節減する必要はない

最後に「4)実施計画を立てる」では、実行可能性と期待成果の検討をおこないます。
企画のアイディアは独自性が高く内容的にも良いが、営業上の成果が挙がらなければそもそもの意味がありません。ですので実行可能性と期待成果(効果の予測)の検討が重要となります。

3.新しいマージン・リベート政策と取引条件変更時の留意点

本コラム冒頭より、「代理店は提供者基点の"販売代理業"であると同時に購買者基点の"購買代理業"という存在であるべき」とお話をしてきました。
施策を実行に移すにあたり、代理店に「どの程度購買者(顧客)と提供者(メーカー)の機能を代行できるか?」を明確にし、代行できる部分についてマージン・リベート体系を準備することがポイントです。リベートは機能代行を促す"潤滑油"となります。
この考え方にもとづいた代表的なマージン・リベートとして、「行為契約値引き(代理店がおこなう行為に対する値引き)」、「専任担当委託料(提供者の製品を専門に扱う営業担当者の設置に対する委託料」、「市場開拓費(新しい市場を開拓することに対する協賛金」といったものがあります。

いずれにしても、過去からのボリュームディスカウント/リベートといった結果に対する御礼的マージン・リベートだけでなく、これから将来に向けて代理店におこなっていただきたいこと(行為、行動)に対しても設定することが重要となります。

4.施策を成功に導く提供者(メーカー)による代理店サポート策

施策は現状分析にもとづき課題を設定し、その課題を克服するためのものとしてお話をしてきました。ここでは課題によって異なりますが提供者(メーカー)がおこなうべき代表的なサポート策(項目)を挙げてみます。

 ●施策を通して業界情報提供、販売店の成長支援
 ●魅力ある商品の投入とターゲット顧客の評価情報収集
 ●施策を通して商品知識、技術知識強化などの人材育成支援
 ●技術的サポートが必要な場合の技術者応援
 ●商品情報、サンプル、映像ソフト、技術データ、実験機材、展示資材の提供
 ●施策の企画からフォローまで、代理店と提供者(メーカー)の一体感の醸成
 ●どの代理店の経営者/営業責任者/営業担当者が本気かのアセスメント
 ●顧客の評価情報、成功失敗情報、実績データ等の収集と保存

次回からは4回にわたって、『代理店の営業力・販売力を高めるメーカー営業担当者の4つの活動』と題し、代理店を活性化させ、しっかりとマネジメントをするためのメーカー営業担当者の活動についてご紹介します。

コラム筆者紹介

講師紹介

講師名 清水 徹
所属 株式会社マーケティング研究協会
コンサルタント
略歴  大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職(セールスエンジニア)として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「営業担当者のスキルアップ教育」などの実績がある。
◆最近の支援実績
○研修
・オフィス関連機器メーカー 代理店営業部 新人研修
・OA機器販売会社 代理店営業研修
・医療材料メーカー 特約店との関係構築研修(拠点指導)

○コンサルティング他
・オフィス関連機器メーカー 代理店機能分析・戦略再構築
・OA機器販売会社 代理店分析ツール開発
・医薬系食品メーカー 取引制度適正診断
コラム 代理店 =再考2= 連載
代理店 =再考= 連載
担当セミナー 販売代理店に対する「4つの活動」再点検 (2016年7月開催)
■販売目標を達成させる代理店・特約店との取組強化法
■代理店・特約店の稼動化・活性化法
お問合せ ■代理店政策等清水徹へのお問合せはこちらからどうぞ

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