2012年11月29日(木)UP マーケティング人材育成・組織力強化

6ヶ月で収益力を飛躍的に改善する方法【2.業績が停滞する理由】

今回は業績が停滞もしくは悪化し始める理由として「現状肯定意識」を取り上げます。



Point4:「組織の陳腐化は現状肯定意識により加速する

組織変革は「変えようとする力」と「現状を維持しようとする力」の攻防と言えます。「変えようとする力」>「現状を維持しようとする力」であれば、変革は進み企業の業績は改善しますが、逆に「現状を維持しようとする力」>「変えようとする力」であれば変革は進まず企業の業績は停滞します。
では、その「現状を維持しようとする力」は何により作られるのでしょうか?私の独断と偏見で語ることをお許しいただけるとすれば、それは組織の中の人の「思考」(頭の中で日々繰り返し唱えられる"呪文")です。それらは新しい思考・行動を回避するための"口実となる思考"です。ざっとリストアップしてみましょう。

1.過信(過去の成功体験。自分のやることはいつも正しい)
2.慢心(今のままでも大きな問題はないし、今まで何とかなってきているし)
3.逃避(どうせ無理だろう)
4.惰性(いつものことをいつも通りにコツコツと)
5焦燥(いつも時間に追われ大局が見えない)
6.誤解(一度貼ったレッテルは絶対に貼り替えない)
7.他責思考(自分・自部門は良いが他人・他部門が悪い)
8.職責外(自分ができる範囲はここまで)
9.諦観(あの上司がいる限り・・・・)
10.評論家(そんなことしても成果は出ないよ)
11.無関心(やってもやらなくても同じ・・・)
12.縮小均衡(けちけちオンリー。夢への投資なし)
13.不信(やつらは信頼できない)
14.自制(自分なんかが出る幕じゃない)
15.理論優先(理屈ばっかりで行動せず)
16.迎合(長いものには巻かれよう)
17.視野狭窄(見たいものしか見ない)
18.四角四面(カチコチあたま)
19.失敗回避(安全・確実が第一)
20.縄張り意識(自分・自部署の利益を最優先)
21.八方美人(悪く思われたくない)
22.知ったかぶり(解決策はわかっているんだよ!)
23.丸投げ(これは部下がやる仕事。自分がやることではない)
24.先送り(なぜ、そんなに急ぐの?今やらなくても問題ないでしょう)
25.減点主義(失敗した奴は減点!)

前回のコラムでリングルマン理論(組織のように多人数が集まり共同して一つの仕事を成し遂げる場合、個人が持っている力を十二分に発揮できる環境ではなくなることを証明)をご紹介しました。個人の力が十二分に発揮できなくなった職場で日々積み重なる"口実となる思考"、これこそが「現状肯定意識」を作り出す最大要因です。
では、実際に現状肯定意識が経営的にどれほどのインパクトを持つのかを実例を通して検証してみましょう。

Point5:「現状肯定意識(小売部門の事例)」

以下のグラフはある全国規模の惣菜チェーンの実績(守秘義務の関係から数値は変更してありますが、問題の本質についての相違はありません)です。
縦軸は売上、横軸は商品ロス率、ドットは店舗を表しています。

income2_1.bmp

レジリエンス「A店とB店は売上が同じなのに、なぜロス率が1%以上も違うのでしょうか?」
某営業部長「ロス率は売上が増えればすぐ改善しますよ。やはり、大型店舗の方が有利ということでしょうか。一方で、市場競争環境を見れば、周辺に大手スーパーのあるB店の方が厳しいということもありますね。店長の力量にも差がありA店長はキャリアが長く優秀なんですよ。B店はアルバイトが多くて・・・。」
レジリエンス「A店とB店のロス率差の1%は確かに、市場競争環境、店長、アルバイトの力量に影響を受けますよね。その中で店長、アルバイトの力量改善によりどれほどロス率は改善するものでしょうか?また、それ以外に自助努力による改善要因はあるのでしょうか?」 某営業部長「店長、アルバイトの力量アップでロス率はある程度は改善すると思いますが・・・・。でもやはり市場環境の変化による売上減が一番の要因だと思いますよ。」

カギは、某営業部長は店長、アルバイトの力量アップでどれほどのロス率が改善するのか、またその他の自助努力的改善によりどれほどのロス率が改善するのか、数値で検証する前に、「市況環境の変化による売上減が一番の原因」と思い込んでいること。

Point6:「現状肯定意識(製造部門の事例)

以下のグラフはあるメーカーの製造部門のライン生産性に関する事例です。

income2_2.bmp

某課長「過去6ヶ月でライン生産性は4.2%改善し、先月は92.5%に到達しました。自分の責任領域では改善は進めています。」
レジリエンス「そうですね。しっかりと改善が進んでいるようですね。一方で今一歩改善を進められる可能性はありますか?たとえば、某課長が仰るところの生産性の分母は機械の稼働時間ですが、これを機械が停止している時間も含めた操業時間を分母としたら・・・?ご参考までに先月のデータをもとに計算してみました。ご覧いただけますか?操業時間を分母にすると生産性は61.2%になります。」

income2_3.bmp


某課長「・・・。確かに操業時間を分母にすればそうですが、段取り替えとか手待ちの部分は自部門の責任の及ばないところですし、自分がとやかく言うところではないと思いますが・・・。」
レジリエンス「確かに大部分はそうかもしれませんが、例えばマシンキャパシティー、つまり、機械の稼働スピードを上げるとか、手待ち時間を少しでも少なくするための予防的な行動とか、改善可能性は全くないですか?」
某課長「全くないとは言えませんが、その前に保守部門が段取り替えをスピードアップした方がいいんじゃないですか?」

カギは機械の稼働スピードを上げる、また、手待ち時間を減らすための予防的行動によりどれくらいの改善の機会が生まれるのかを数値で検証する前に、「保守部門が段取り変えをスピードアップすべき」と思い込んでいること。

Conclusion2:「業績停滞の理由は現状肯定意識にあり」

現状肯定意識は個人の"思考"により作られますが、個人の"思考"は組織風土に多大な影響を受けます。つまり、上記某営業部長、某製造課長個々人が改善に消極的ということではなく、組織自体が改善に消極的であると考えるべきだと思います。
前回のコラムで、「業績を上げる組織と上げられない組織との差はまさに、陳腐化対応への意識とこだわりにある」と申しましたが、陳腐化対応の意識を作り上げる最大の障害が組織に根付く現状肯定意識であると考えられるのです。では、その現状肯定意識と部門リーダーとはどのような関係にあるのでしょうか・・・・・?そうです!醸成するのも、助長するのも、はたまた、改善するのも部門の長である管理者がカギを握るということです。
そこで、次回のコラムでは、この組織に根付く現状肯定意識を払拭し、業績を改善するための管理者の責任についてお話を進めていきたいと思います。

コラム筆者紹介

講師紹介

清水 輝幸講師

講師名 清水 輝幸
所属 株式会社レジリエンス代表取締役
略歴 1958年生まれ。ペンシルベニア大学ウォートンスクール(MBA)卒業。 外資系(プラウドフット・ジャパン)・日系(日本経営システム研究所)のコンサルティングファーム勤務を経て、2006年に独立し、�潟激Wリエンスを創業。事業再生、マネジメント変革、グローバルマネジメント、マーケティング戦略、営業戦略の実行支援において多数企業で実績があり、特に業績不振企業に対してマネジメント力の強化を通じた企業価値向上のコンサルティングで評価を得ている。
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