2012年11月08日(木)UP マーケティング事業開発商品開発・ブランド戦略

6ヶ月で収益力を飛躍的に改善する方法【1.業績が停滞する理由(その1)】

今回は業績が停滞もしくは減少し始める理由についてお話しいたします。



Point1:「組織は作られた途端に陳腐化し始める」

少し前のお話になります。2008年3月31日に放映された「カンブリア宮殿」(テレビ東京)で、日清食品株式会社の安藤宏基社長が組織の"さが"について的を射た発言をしておられました。そのお話の趣旨は、「組織は作られた途端に陳腐化し始める」ということです。組織では、効率化が求められその結果として分業化が進む。分業化が進むと部門、個人の責任の所在が曖昧になる。責任そのものが希釈化してしまうと個人の責任意識が効率化との引き換えに減退していく・・・。

その問題に対応するため、日清食品では「解剖会議」という名称の会議が社長主宰で行われているそうです。その会議では損失金額を個人単位で明確にする。例えば、あるマネジャーの企画した新商品が一億円の損失を出したとすると、種々のデータをもとに議論を重ねる。例えば、商品コンセプト自体は正しかったのか、ネーミングは、パッケージングは適したものだったのか、販促プロモーションは効果的であったのか、競合との味比較での完成度は?と議論は深まっていく。その過程を注視しながら最終的には社長が裁定を下すという。その結果は例えば次のようになる。

1.プロダクトマネジャーは40%の責任で4000万円
2.営業本部長は20%の責任で2000万円
3.宣伝本部長は10%の責任で1000万円
4.○○部長は・・・

同社ではこのように関係責任者一人一人の貢献(損失)金額を明確にしており、その累計金額が個人別に安藤社長の携帯電話の中に記録されているという。なお、その記録について、実際に負債の返済を迫られることはなく、退職するまでにできるだけ早く完済し利益を出すことが期待される。安藤社長は解剖会議とその意図について次のように語っている。「組織というのは誰がどうしたって責任が分からなくなる傾向があるのですが、それをはっきりしましょうということなんですよ。」

Point2:「タッグ・オブ・ワー(綱引き)」

10年ほど前のテレビ番組で、シニア女性5名チームとプロ格闘家5名チームとの綱引きの試合が放映されていました。シニア女性チームは平均年齢55歳、平均体重58㎏、片やプロ格闘家チームは平均年齢35歳、平均体重105kg。体力的には雲泥の差がありました。さて、試合の結果はどうだったでしょうか?10数秒はかかったでしょうか。
激闘の末、シニア女性チームの勝利に終わりました。そして、その試合が終わった時の情景が印象的でした。プロ格闘家の全員の呼吸は大きく乱れ、全員が肩で粗い呼吸をしていました。一方シニアチームの面々と言えば、全員が"涼しい顔"で勝利を喜びあっていました。

なぜ、これほどまでの差がついたのでしょうか?試合を振り返るとそれがわかります。シニア女性チームは床から腰の位置が一定した距離にあり、綱を引くタイミングに一糸の乱れもありませんでした。一方、プロ格闘家は腰の位置がバラバラ、"腰で綱を引く"といのではなく"腕っぷしで綱を引く"イメージ、さらには引くタイミングは各自バラバラ・・・。

PPoint3:「社会的手抜き」・・・リングルマン理論

ドイツの組織行動学者のリングルマンは組織の生産性の変化を「つなひき」をもとに説明をしました。先ず、1対1で綱引きをした場合に発揮できる力を100とする。今度は複数人数対複数人数で綱引きをするとどうなるのか?2対2になると1人当たり発揮できる力は93に減少し、3対3では85%に、さらには8対8となると49と、1人当たり発揮できる力は半分以下になるという。
つまり、組織のように多人数が集まり共同して一つの仕事を成し遂げる場合、個人が本来持っている力を十二分に発揮できる環境ではなくなることを証明しました。フリーライダー(自分は貢献しないで"ただ乗り"する人)が生まれる→努力する人は今以上に努力が必要とされる→今以上に努力しても思うように結果が出ない→妥協・諦観の気持ちが生まれる→組織力の更なる減退、との負のサイクルが生まれる。このような連鎖は容易に想定できることですね。

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Conclusion1:「業績停滞の理由は陳腐化対応の遅れにあり」

さて、組織とは放っておけばその力は減退する宿命にあるとことには同意いただけるかと思います。業績を上げる組織と上げられない組織との差はまさに、陳腐化対応への意識とこだわりにあると言っても過言ではありません。
さらに、また、その"陳腐化対応"とは、1)個々人(具体的には管理者)の責任の具体化、および、2)個々人の力の最適連動化にある、とは感覚的にご理解いただけたかと思います。
その具体的展開はシリーズ3、4回目に展開しますが、その具体的説明をさせて頂くためにも、「業績が停滞する理由」を今一歩掘り下げておきたいと思います。次回のコラムでは、組織の陳腐化を促進する要因を「現状肯定意識」という視点から切り込んでいきたいと思います。

コラム筆者紹介

講師紹介

清水 輝幸講師

講師名 清水 輝幸
所属 株式会社レジリエンス代表取締役
略歴 1958年生まれ。ペンシルベニア大学ウォートンスクール(MBA)卒業。 外資系(プラウドフット・ジャパン)・日系(日本経営システム研究所)のコンサルティングファーム勤務を経て、2006年に独立し、�潟激Wリエンスを創業。事業再生、マネジメント変革、グローバルマネジメント、マーケティング戦略、営業戦略の実行支援において多数企業で実績があり、特に業績不振企業に対してマネジメント力の強化を通じた企業価値向上のコンサルティングで評価を得ている。
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