2012年1月27日(金)UP 営業力強化(生産財・産業財)

代理店戦略=再考【5[実践編 その2] 競合企業との差別化はできていますか?】

前回のコラムでは、代理店の機能評価をおこない、特性ごとのグループに分けた後、基本方針を立てることについて解説しました。自社によって有意な代理店を如何にして選別するかが鍵となります。今回は、代理店との取り組みを深めるために必要な要素を洗い出し、自社をライバル企業との比較において代理店の視点から評価してみたいと思います。

■代理店が企業に求めるもの

代理店は自社も含めた企業から製品やサービスを仕入れ、それを顧客に再販売することによりその差益で経営をおこなっています。もちろん、仕入れた製品・サービスをそのまま再販売するということではなく、何らかの付加価値を加えています。様々な企業の製品を組み合わせたシステムとして販売することがその一例といえます。

このような場合、代理店はできるだけ安く製品・サービスを仕入れて、できるだけ高く販売することで大きなリターン(収益)を得ることができます。販売価格を上げることが困難である現状を考えると、代理店は収益を上げるためには、一般的には如何にして仕入れを安くおこなうかに意識が集中します。

皆さんもおわかりであると思いますが、代理店は安く仕入れることができればどこの企業から仕入れをおこなっても良いということになります。唯一無二の製品・サービスであれば、特定の企業からしか仕入れることはできませんが、特に差別化が難しい汎用的な製品・サービスであればどこからでも仕入れることに躊躇は無いように思えます。このように、代理店にとってはどのくらい儲かる製品・サービスなのかが仕入れをおこなう際の最大の関心ごとといえ、企業に求めることといえます。

■差別化を図る3つの視点

差別化を図る1つ目の視点は「製品・サービス」です。顧客から指名で注文がある製品やサービスについては、代理店は特に難しい営業活動をおこなうことも必要とせず、確実に販売をすることが可能となり、手間をかけずに収益に結びつけることができます。
ただし、昨今では「製品・サービス」の面で特別な差別化が難しい状況であり、ましてや顧客から指名買いが入るようなものとなるとそう多くはありません。代理店サイドからすると、より"売りやすいもの・儲かるもの"を販売するといった傾向が強く出てきます。

2つめの視点は「取引条件」です。
仕切り価格(マージン)や販売リベート、各種の協賛金など企業が代理店に提示する取引条件は多岐に渡っています。またそれぞれ単独で提示されることはまれで、複数を組み合わせることが一般的です。これらは、企業が代理店に自社の製品・サービスをより多く販売してもらうための潤滑油のような役割を果たすことを目的としていますが、多くの場合は予期せぬ状況に陥る原因となっていることもあります。本来であれば、企業の販売戦略をより効果的に実現するための補完的な位置づけとして設定されることが望ましいのですが、代理店の既得権益と化してしまい機動的な運用ができなくなっていることも見受けられます。
ある企業では、なんとかして取り引きを継続しようとして策を講じた結果、何十種類といった費目が出来上がってしまったというケースもあります。「取引条件」については、非常にデリケートなテーマでもあるため、別の機会で取り上げてみたいと思います。

そして最後の3つ目の視点は「営業活動や技術に関する支援・サポート」です。代理店が営業・販売しやすいように、また技術的対応ができるように、企業がどのようなサポートをおこなっているかを見ます。
一般的におこなわれている策としては"営業同行"や"製品勉強会""技術講習会"といったものです。これらは、代理店の収益を上げるために(裏を返せば企業が自社製品・サービスを多く販売してもらうために)代理店の営業担当者および技術担当者に対して教育をおこなうものです。いくら取引条件が良くても、数が売れなければ収益には結びつかないため、どれだけ多く販売できるかを目的として実施されるケースが多く見受けられます。

■代理店視点で自社を評価してみる

私がクライアントから相談を受けた場合、これら差別化のポイントが競合企業と比較して代理店にとってどのくらい有意なものであるかを、代理店視点から評価してみることをお奨めしています。代理店が何に関心を持ち、どのような点で企業を評価し、優先順位をつけているのかを知らなければ、本当に有効な策を実施することが困難であるからです。

基本的には、代理店は市場(顧客)に対して一緒に製品・サービスを販売していくパートナーであることが望ましいと考えています。そのためにもお互いを理解し、共通認識の下に行動に移すことが相互の収益に結びつくものであることを願っています。このことがまさしく「取り組み」を深め、「協働」できる関係です。ただし、残念ながら敵対しているケースを多く見受けますが・・・。

自社を客観的に評価し、強み/弱みを認識した上でどの代理店とどのように取り組みを深めていくかを検討することが、代理店チャネルにおいてビジネスをおこなうことの肝心なポイントになると考えています。

次回は、選別された代理店(グループ)に対する基本戦略を、代理店の評価軸と代理店視点による自社評価をもとにどのように立てていくかを考えてみたいと思います。

コラム筆者紹介

講師紹介

講師名 清水 徹
所属 株式会社マーケティング研究協会
コンサルタント
略歴  大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職(セールスエンジニア)として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「営業担当者のスキルアップ教育」などの実績がある。
◆最近の支援実績
○研修
・オフィス関連機器メーカー 代理店営業部 新人研修
・OA機器販売会社 代理店営業研修
・医療材料メーカー 特約店との関係構築研修(拠点指導)

○コンサルティング他
・オフィス関連機器メーカー 代理店機能分析・戦略再構築
・OA機器販売会社 代理店分析ツール開発
・医薬系食品メーカー 取引制度適正診断
コラム 代理店 =再考2= 連載
代理店 =再考= 連載
担当セミナー 販売代理店に対する「4つの活動」再点検 (2016年7月開催)
■販売目標を達成させる代理店・特約店との取組強化法
■代理店・特約店の稼動化・活性化法
お問合せ ■代理店政策等清水徹へのお問合せはこちらからどうぞ

コラム一覧に戻る

コラムの更新や、マーケティングに関するサービス情報をお届けします

弊社マーケティング研究協会のメールマガジンサービスは、マーケティング研究協会(以下、当社といいます)が無料 で配信するものです。

メールマガジン登録はこちらから

Page Top