2011年8月22日(月)UP マーケティング商品開発・ブランド戦略人材育成・組織力強化

連載:マーケティング実態調査からみる成功企業のポイント【第4回】マーケティングリサーチの課題

1.マーケティングリサーチの実施段階

マーケティング活動にとっての、マーケティングリサーチは必須のツールとして各企業で定着してきているが、その課題も多い。
マーケティングリサーチを企画プロセスの中で、どの段階で実施しているかを質問した。
全体で最も多いのは「市場環境の分析」や「商品コンセプトの設計」段階。【優良企業】に着目すると、「潜在ニーズ」が他の層と比較すると高い。ヒット商品の要素でも他の層よりも高い比率を示した「潜在ニーズ」をリサーチから抽出している。
同様に「商品デザイン」「カテゴリー設定」「ネーミング・キャッチコピー」においても他の層よりもマーケティングリサーチを実施している率が高い。

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2.検証型リサーチの位置づけ

【優良企業】は「実施決定の最終判断」「改善事項の抽出」など能動的・本質的に活用していることが分かる。
【残念企業】が「上席への説得材料」「決定プロセスの形式的な事項」など受動的・付加的な位置づけが多いことと対照的である。
多大なコストとスタッフの貴重な時間を費やして行うマーケティングリサーチの位置づけとしては、いささか残念な結果である。
「マーケティング」は実行活動へ展開して初めて、その企画の良し悪しが確認できるもの。何人も事前に「正解」を知ることはできない。故に企画段階でその効果がどの程度得られるか「確からしさ」という観点で精度を高めなくてならない。そのための手段としてマーケティングリサーチを位置づけるべきである。
組織全体としてマーケティングリサーチの位置づけを高め、企画プロセスの必須の事項として捉えなくてはいけない。 もちろんマーケティングリサーチは、調査という「場」のバイアス(実際の購買シーンと完全に合致させることはできない)、「サンプル」のバイアス(調査パネルとしての特性)、「分析考察」のバイアス(データをどう読むか)が必ず付きまとう。それらをどう織り込んで企画プロセスの中で機能化させるか、整備・検討しなくてはならない。

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3.マーケティングリサーチの課題

フリーアンサーで「マーケティングリサーチの課題」について質問した。
全般的にはリサーチを担当する者のスキル不足が大きく挙げられている。
インターネットが手軽に実施できる状況の中で、「誰でもリサーチを実施すること」はできる。何を聞くか(アンケート設計)、何故聞くのか(調査課題)、どのように活用するのか(考察)といったリサーチスキルが著しく低いことが浮き彫りとなった。 関連して仮説がないリサーチを実施している状況も窺える。
ターゲット顧客の実態を把握する上でも、選択肢にない状況を窺うことは定量調査においては限界がある。ターゲット顧客の生活シーンやビジネスシーンが当該商品カテゴリーを使用する状況、購入する状況を仮説として設定することが求められる。
2次データや販売実績のデータ(FACT)から、いかに有効な仮説を見出すことができるか。リサーチ担当者だけでなくマーケターのスキルとして重要である。
前述したようにマーケティングリサーチには多大なコストと時間が必要となる。その効果を最大なものとするには、実施する前の段階で、「何が既知なのか?」「何が分からないのか?」「何を確認すべきか?」を明確にして臨むことが肝要である。

企業によっては過去に行ったリサーチと重複する設問や、他部署で実施したマーケティングリサーチで既に確認できている設問を平気で盛り込んでいるケースが見られる。マーケティングリサーチを組織として一元管理し、結果情報の共有を図ることが望まれる。
このことは1次データに限らず、2次データにおいても同様のことが言える。対象としている市場において、何がFactで何をしなければならないのか?明確にすべき事項と考える。 また「マーケティングリサーチにおいては聞いたことしか分からない」。設問の設計段階において、どのような知見を得たいのか、そのために、どのような集計分析をするのか、そのために、どのような調査方法が望まれるのか、どのような設問を設けるべきかを事前に検討しておかなければならない。設計段階における課題も大きい。

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考察
  • マーケティングリサーチの効果と限界を踏まえて、企画プロセスの中で機能化することが必要である。組織としてその位置づけを明確にすることが求められる。


  • リサーチ担当者の課題として、リサーチする前段の仕込み(設計)が最も重要である。リサーチの結果、どのような知見を得たいのか、事前に検討しておかなくてはならない。
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    コラム筆者紹介

    講師紹介

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    講師名 蛭川 速(ひるかわ はやと)
    所属 株式会社フォーカスマーケティング 代表取締役
    略歴 中小企業診断士。1969年生まれ。1991年、中央大学商学部卒業。同年(株)常陽銀行に入行。1997年(株)マーケティング研究協会に入社。専務取締役を経て2012年5月から現職。著書に「マーケティングに役立つ統計の読み方」がある。企業のマーケティング支援業務に15年間携わった経験から、実務で活かせるマーケティング戦略を提唱。商品企画や販売促進などマーケティング実務におけるコンサルティング活動とマーケティングリサーチ支援を行う。ビジネスセミナーや企業研修講師としても活躍。 「マーケティングは仮説設定が全て」を信条として、定量データから仮説を設定するプロセスを構築。企業実務での支援活動に注力している。
    セミナー ・必修!マーケティングの基本
    ・FACTデータからの仮説設定術
    ・データに基づいたマーケティング仮説の立て方
    コラム マーケティング実態調査からみる成功企業のポイント(連載)

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