2011年4月14日(木)UP 人材育成・組織力強化人材育成

【連載 営業の生産性向上を考える 第1回】日本の営業組織はナレッジワーカーと言えるか?

Q1.まず最初にホワイトカラーとナレッジワーカーの違いについて教えていただけますでしょうか。

ナレッジワーカーとは、英語で「Knowledge worker」と書きます。 文字通り、知識(knowledge)を活用して働く人(worker)ですね。 補足までに、アルビン・トフラーは自身の著「パワーシフト」において、「21世紀には、"知"を持ったものがその時代を征する」と書いているほどです。

sales1-1.bmp図によれば、ナレッジワーカーは、ホワイトカラーより上位概念に位置しています ホワイトカラーとナレッジワーカーとは何が異なるのだろうか?ということですね。  そもそも、ナレッジワーカーという概念はここ数年でメジャーになってきた言葉であり、このナレッジワーカーが従事していた業務は、これまで(=1990年代初頭まで)ホワイトカラーの業務に含まれていたのも事実です。




但し、私は次のように区分けしています。


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ナレッジワーカーに、ホワイトカラー的な業務がゼロなのか? というと、そうでもなし、一方で、ホワイトカラーにナレッジワーカー的な業務がゼロなのか? というと、これもそうでもないです。どちらにも含まれているものの、ナレッジワーカーとホワイトカラーでは、その業務のウェートが異なるだけです。

(数値(/人)はイメージです)


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Q2.日本のビジネスマンは大変勉強熱心なので、知識はたくさん持っているのでしょうが、それをどう活用して仕事に活かすかが弱いような気がしますが・・。


そうなんですね。ここで、この「知」を定義しておきたいと思います。私は「知=知識×知恵」と定義しています。
知識とは「ある物事について知っていることがら」、であり、知恵とは「正しく物事を認識し判断する能力」です。つまり、ナレッジワーカーは、「知識を活用して知恵を養うことが期待されている人」、と大きく解釈していいと思います。

では「知識を活用する」ことはイメージできるかもしれませんが、「知恵を養う」とはどういうことなのでしょうか。
例えば、「正しく物事を認識」するためには知識が必要であり、それらに「判断を下す」ためには「何か新しい物の見方・考え方」が必要です。その「何か新しい物の見方・考え方」を創出することこそが知恵を養った結果であり、これらを私は「アイデア」と呼ぶことにしたいと思います。




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この「アイデア」とは、「知識を入れて(input)、それを思考し(process)、その結果導かれるオリジナルなモノ(output)と位置づけることができるわけです。

逆説的に言うと、オリジナルなアイデア(output)を創出するために、内外問わず世の中にある知識(input;情報を含む)をふんだんに使いきれる(process)人材といえるでしょう。



Q3.というとナレッジワーカーとはどのような定義になるでしょうか


 

一般的に、組織内で働く人材が期待されている項目としては大きく3つあります。


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維持機能とは現状を滞りなく回転させ、革新機能とは将来を創り、育成機能とは企業の継続性を確実なものにすることです。
もしあなたが、維持機能だけを求められている状態であったとすると、あなたは自分の将来に期待できるでしょうか? 
この文章の主語を「自社」に置き換えてみると、「もし自社が、維持機能だけをコミットしている状態であったならば、あなたは自社の将来に期待できるだろうか?」、ということです。
製造業であるならば、「新商品開発部」だけが革新機能を受け持っているような勘違いをされる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。大なり小なり、各部署に革新機能は存在しており、また、オリジナルで革新機能を創り出し続けなければならないのです。そして、そこへ計画的に時間を投入し、定義された(=顧客から期待)アウトプットを創出し続けなければならないのです。
 このように考えてみると「ナレッジワーカーとは、革新機能を保持している人」と定義できます。敢えて、革新機能が含まれていない人材を探すならば、新入社員1年目の人材ではないでしょうか。彼らにはオリジナルなことを創造する前に、型(=維持業務)を体感することが大切だからです。




Q4.でも営業だけではなく、どんな職種においても質と量のバランスは難しいですね。

そうですね。まさに労働の"量" VS 成果の"質"ですね。 一般的に維持機能業務には、処理的な業務が含まれています。従って、時間の投入量がそのまま成果に現れます。一方、革新機能業務には、何かをオリジナルで発想する業務が含まれています。これは、時間の投入量がそのまま成果に現れない。ただし、時間を投入しなければ決して成果には現れない・・・というように管理することが難しい厄介な業務なのです。

ここで敢えて、読者を「日本市場で活躍する人材」に絞ってみたいのです。(良いか悪いかはさておき)昨今、処理的な業務が自社から消えていっていないでしょうか? これは、誰もが従事できる業務は、コスト競争にさらされ、人件費が安いところに移ってしまっているのです。例えば中国であり、日本国内であったとしてもアウトソーシングしているなど。


sales4-1.bmpこれは時代の流れであって、労働集約的な業務は成果の質を問わない(労働量の量を問う)からこそ、必然的にコスト競争するしかないのです。特に、Developed countriesの一員である我々は、「労働量で対価が決まる時代ではなく、成果の質で対価が決まる時代」に生きていることを正しく認識する必要があります。今後、益々、ブルーカラーやホワイトカラーの業務は外出しされ(ゼロになることはなく、ただ、賃金の高い人材が対応することはない、ということ)、社会に貢献する形として、KWしかなかなくなってきている時代になっているのです。


「第2回 営業組織が効率より効果性向上が期待されている理由」に続きます。

コラム筆者紹介

講師紹介

講師イメージ

講師名 坂本 裕司
所属 株式会社エイチ・ピィ・ピィ・ティ 代表取締役
略歴 生産性向上マネジメント・コンサルティングの第一人者 。 1996年鐘紡株式会社(現;クラシエHD株式会社)入社。ノッティンガム大学経営大学院(UK)にてMBA修了。ISPI(International Society for Performance Improvement:米国本部:ナレッジワーカー・ホワイトカラー生産性向上研究団体)の日本支部プレジデント(2003〜2011)。独立系マネジメント・コンサルティング会社取締役を経て、株式会社エイチ・ピィ・ピィ・ティを設立。 主な著書:『戦略的営業利益向上マネジメント』、『考える営業』 、『ホワイトカラーの生産性を飛躍的に高めるマネジメント』 (すべて産業能率大学出版部)
セミナー “考える営業組織”のつくり方(7/13開催)
コラム 【連載】 営業の生産性向上を考える



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